あなたが運命の番ですか?
 アパートの外に出て駅へ向かっている道中、アタシは背後に妙な視線を感じて立ち止まった。
「――ん?」
 アタシは恐る恐る振り返ってみたが、ごく普通の通行人が数人いる程度で、視線の正体らしき怪しい人物はいなかった。
 気のせいかな?



「真琴!今何時だと思ってるの!?」
 家に着くと、ママが目を吊り上げながら玄関までやって来た。
 時刻は既に20時を過ぎている。
「ごめんって」
 アタシは靴を脱ぎながら、適当に答えた。
 何となく分かっていたけど、完全に説教が始まる。アタシは、早々にこの場を去りたかった。
「最近、帰りが遅いんじゃない?水曜日は部活が休みじゃなかったっけ?一体、こんな時間までどこをほっつき歩いてるの?」
「友達とファミレスで勉強」
 アタシはガミガミと小言を言うママを適当にあしらって、自室へ向かった。
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