こじらせて、こじらせるほど。
女、29歳
「偶然会って運命、って…。乃亜の行きつけのコンビニって知ってたんでしょ?」
「しかも入る前に広瀬の車あるかチェックしてるしなあ」
「それって運命っていうか…」
「ていうかなぁ」
「「ストーカー」」
「声揃えて言うなよ!!!」
今日は金曜。紛うことなき華金。
そして俺は、地元じゃ一番の大手銀行で勤務する花の29歳、中川大地。花の独身。彼女なし。
「あのさぁ、大地。いい加減その、中学生みたいなことやめろよ〜。おにぎりのシールおでこに貼り付けるとかさぁ」
目の前でハーブティー片手に呆れた顔を見せるのは(ここは居酒屋である)、松本隆太。中学のときからの親友。中学、高校とずっと同じバスケ部だった。
「いや、それ中学生に失礼だから。小2だよ、小2。まじで」
そしてそんな隆太の彼女、大町桜子。大町も中学が同じなので、俺との縁も長い。
「大町、お前は俺に失礼。誰が小2だよ。立派な29歳だわ!」
「29歳で誇るな?その幼稚な行動を。好きな女子のおでこにシール貼り付けて喜ぶとかまじでドン引きだわ。いやもう、ドン引きっていうか共感性羞恥で死ぬレベル」
「おい!!てか喜んでねぇよ別に。まぁ怒った顔はいつも通りめっちゃ可愛かったけどな?」
「それが幼稚って言ってんだよクソボケが!いい大人の男なら好きな女怒らせるんじゃなくて笑顔にしろっつーの!」
「はいはい、桜子落ちいて〜、ハーブティー飲む?」
隆太がそっと大町の手から生ビールを取り上げて(大ジョッキ三杯目)自分のティーカップを握らせた。