ホスト、田舎娘に振り回されてます!〜恋のプロが、ウブなアイツに本気になったら〜
都会のアフタヌーンティーに挑戦しようの会
「都会のアフタヌーンティーって、めちゃくちゃオシャレなんですよ!」
「……だから?」
「行きましょう!!」
「なんで俺が?」
「だって、一人で行くのはハードルが高いんです!」
「……じゃあ、行くな」
「えぇ!? でも都会の優雅な文化、体験してみたくないです?」
「興味ねぇ」
「ダメです! 絶対楽しいから!」
こうして、「都会のアフタヌーンティーに挑戦しようの会」が開催された。
◆ 第一関門:メニューが英語
「……なんだこれ」
「ティーフーズですね!」
「いや、それは見れば分かる。問題は、全部英語なことだ」
「都会の高級アフタヌーンティーは大体こんな感じなんですよ!」
「“スコーン” とか “サンドイッチ” は分かるけど……これは?」
「“プチフール” ですね!」
「……何語?」
「フランス語です!」
「で、何?」
「えーと……小さいお菓子です!」
「……だったら小さいお菓子って書け」
「雰囲気が大事なんです!」
◆ 第二関門:ティーの種類が多すぎる
「紅茶、何にします?」
「どれでもいい」
「いやいや、それじゃダメですよ! ほら、“ダージリン” とか “アールグレイ” とか “アッサム” とか!」
「違いが分からん」
「えぇ……じゃあ、“アールグレイ” にします?」
「それはどんな味だ?」
「ベルガモットの香りがします!」
「……ベルガモットって何だよ」
「えーと、柑橘系の……」
「だったら柑橘って書け」
「雰囲気が大事なんです!」
◆ 第三関門:食べ方が分からない
「この三段のやつ、どれから食うんだ?」
「下から順番に食べるのがマナーらしいですよ!」
「ふーん」
「じゃあ、まずはサンドイッチからですね!」
「……」
「……」
「……小さくね?」
「アフタヌーンティーのサンドイッチはこういうものです!」
「一口で終わるぞ」
「優雅に食べてください!」
「……はいはい」
(数分後)
「お前、スコーンに何塗ってんだ?」
「クロテッドクリームです!」
「……何語?」
「イギリス!」
「で、何?」
「えーと、バターと生クリームの間みたいな……」
「だったらバターって書け」
「雰囲気が大事なんです!!」
◆ 最後の関門:ティータイムの優雅な会話
「都会の優雅な文化、どうでした?」
「……紅茶はうまかった」
「良かったです!」
「でも、お前が『雰囲気が大事』って言うたびに台無しだったけどな」
「えぇー!?」
「で、結局お前、アフタヌーンティーの何が楽しかったんだ?」
「そりゃあ、こうしてオシャレな空間でのんびりお茶できることですよ!」
「……俺は普通の喫茶店でいい」
「都会の優雅な文化、もうちょっと楽しんでください!!」
「俺に求めるな」
「うぅ……次はパンケーキのお店に行きましょう!」
「……お前、結局食べたいだけだろ」
「バレました?」
「当たり前だ」
こうして、「都会のアフタヌーンティーに挑戦しようの会」は幕を閉じた。