ツレナイ彼×ツヨガリ彼女
「なぁ結城」
「なによ」
「ちょっと失礼」
「へ？」
ツヨガリ彼女が視線を上げようとするよりも先にふわっと体が浮いた。

「ちょっ何してんのよ」
「人命救助」
「ばか。降ろして」
他の乗客がちらちら視線を向けて来る。

「結城理香子」
「なによ、片桐慶介」
「…なんでもない」
ツレナイ彼、片桐慶介はスタスタとツヨガリ彼女の結城理香子をお姫様だっこして電車を降りた。

長身の片桐慶介と同じ視線から見える景色はいつもと全く違う。

「ありがとう…」
小さくつぶやく理香子の言葉に慶介は「おぅ」と小さく返事をした。

気づけば駅のホームにあるベンチに座らされていた理香子。手には温かいお茶。

1度は立ち去ったと思っていた慶介が持って戻ってきたお茶。

「これ…」理香子はいつも飲んでいる自分が好きなお茶をじっと見つめながら今まで見たことのない慶介の姿に驚いていた。

どうしてあいつ（ツレナイ彼）が私の好きなお茶知ってんのよ。

これは偶然か…必然か…
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