ツレナイ彼×ツヨガリ彼女
席に戻った慶介はいつものように仕事を済ませた。
表情も何も変わらない。

定時になると、「帰るぞ」と理香子に声をかけて、先に立ち上がった。
「ほら。」
理香子が立ち上がるまで自分も帰らないぞという雰囲気の慶介に理香子もすぐに立ち上がる。

会社の外まで一緒に出た二人。
「じゃあな。」
そう言って慶介は理香子と別の方へ進もうとする。
「ねぇ」
理香子の声に慶介が振り向く。
「ん?」
「・・・・」
何も言わない理香子。
少し離れていた距離は慶介が理香子の元へ戻りすぐに近づく。
「どうした?具合悪いのか?」
慶介を呼び止めることなどない理香子。
しかも呼び止めたあと黙ったままの理香子に慶介は心配そうに、顔を覗き込む。

「どうした?」
「ごめん。見ちゃったの。メモ。」
気まずそうに言う理香子に少し間を置いてから「あー」と返事をする。

「見られたか」
理香子の罪悪感を消すようにおどけていう慶介。

「俺の父親が入院してるらしい。携帯の番号教えてなかったから会社に電話が来たんだ。」
「じゃあ、早くいかないと」
慶介の返事に、理香子は慶介の腕をつかむ。

「それが、行きたくない気持ちがめちゃくちゃでかい」
「どうして?」
あまりに心配そうな理香子に、慶介はふっと微笑む。
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