幼なじみは私の秘密の吸血鬼【マンガシナリオ】
第四話 おでかけ
〇日曜日
〇姫花の家、洗面所
洗面所の鏡を見ながらチェックする姫花
姫花(今日はアルトとお出掛けだ!)
姫花「髪……変じゃないよね」
姫花母「姫花ー。アルトくん来てるわよー」
姫花「はーい、今行くー!」
玄関に向かうと、そこには私服のアルトがいる
アルト「おーっす、おはよ」
姫花「おはよう。ちゃんと起きれたんだね、偉い偉い」
アルト「いくつだと思ってんだよ」
姫花「だってアルト、いっつも時間ギリギリじゃん」
他愛ない会話をしながら出かける二人
〇繁華街を歩く二人
アルト「んで? 今日は何するんだ?」
姫花「とくにこれって決めてないけど~……」
バッグの中を漁る姫花
映画のチケット二枚を取り出す
姫花「これ観よ!」
アルト「『愛のダークロード ~恋に焦がれたヴァンパイア~』~~~? なんだよこれ」
姫花「いいでしょ~、みちるにもらったの!」
アルト「ここに本物の吸血鬼(ヴァンパイア)がいるんですけど?」
呆れるアルトと、笑顔の姫花
二人は映画館へと向かう
〇映画館、館内座席
ポップコーンと飲み物を持って席につく二人
姫花「なんかさぁ~、二人で出かけるの久々だよね?」
アルト「そうだっけか? いつも学校で一緒だから久々な気ぃしないけど」
姫花「もぉ~」
アルト「上映中、寝たらごめんな?」
姫花「ちょっとー」
アルト「だってよぉ~……」
そうこうしているうちに上映が始まる
スクリーンで、吸血鬼と女性がロマンスを繰り広げている
姫花(アルトの両親も、こんな感じで恋愛してたのかなぁ……)
姫花(アルトは吸血鬼のハーフだけど、おじさんは純粋な吸血鬼だって言ってたしなぁ)
姫花(私は今、アルトの『ツガイ』だけど……)
姫花(いずれアルトも、本物の『ツガイ(恋人)』を見付けるのかな……)
アルト「………」
映画に見入っている姫花のことを、横目で見詰めるアルト
〇ファーストフード店
映画を見終え、近くのファーストフード店でお昼を食べる二人
姫花「すぅ~~~っごく面白かった!」
アルト「すーーーっげぇつまんなかった!」
声を合わせて見合う二人
姫花「えぇ~~~私ラストけっこう泣いてたんだけどー。お姫様抱っこして夜の街を二人で一望するシーン、もう最高だった!」
映画のワンシーンを思い出して感激する姫花
頬杖をつき、つまらなそうにするアルト
アルト「ふーん。吸血鬼の描き方が雑だし違いまくってるしで、俺は全然話に集中できなかったね」
姫花「そりゃ、本物の吸血鬼さんはそうかもしれないけど……」
少し声を潜める姫花
姫花「ねえ。おじさんやアルトが普通に生活してるってことはさ、この世界には他にも普通に暮らしてる吸血鬼がいるってこと?」
アルト「……父さんが言うにはそうらしいけどな」
アルト「よくホラー映画とかで脅威のモンスターみたいに吸血鬼は描かれてるけど、本物の吸血鬼(俺たち)は違う。あんなむやみやたらに人間を襲いはしない」
姫花「そうなの? どうして?」
アルト「普通に考えて、そんな好き勝手してたら食料である人間が底を尽きるし……そもそも、現代の人間の持つ兵器に、吸血鬼はもう束になったって太刀打ちできねぇよ」
姫花「な、なるほど」
アルト「それに噂だと、ヴァンパイアハンターってのが常に吸血鬼(俺たち)に対して目を光らせてるんだとさ。映画にもチラッと出てただろ」
姫花「ああー。吸血鬼の天敵みたいな人たちかぁ」
しばらく会話しながら飲み食いする二人
姫花「ってか高校生になって一ヵ月経つけど、アルトはもう学校慣れたー? 私はクラスの人覚えるので精一杯だよー」
アルト「でも友達もういるだろ?」
姫花「みちるは中学の時からの友達だもん」
アルト「………」
机に突っ伏す姫花
アルト、姫花の頭を優しく撫でる
アルト「俺がいるじゃん」
姫花「……ん。ありがと。でも……」
アルト「でも?」
姫花、ガバっと起き上がる
姫花「でもやっぱり、新しい友達ほしいし、彼氏だって作ってみたいよー!」
アルト「……彼氏」
アルト、姫花の『彼氏』という言葉に反応する
アルト「姫花が彼氏、とか……」
姫花「とか?」
アルト「……絶対むり」
姫花「なっ……なんでよ!?」
アルト「……なんとなく」
そっぽを向くアルト ※無自覚な嫉妬
姫花(な……なによなによアルトのやつ!)
姫花(自分は顔がイイから選びたい放題かもしれないけど、私は無理ってどういうことよ!)
〇ショッピングモール
雑貨屋で色々物色している姫花とそれを無言で見守っているアルト
二人の間に流れる空気が少し重い
姫花「………」
アルト「………」
姫花(あれからアルト、黙りこくっちゃってさ、なんなのよ、もう!)
姫花(だいたいアルトだって彼女作るのもしかしたら絶対むりかもしれな……)
アルトの顔を見て、イケメンだと再認識する姫花
姫花(はぁ~~~。アルトはむしろ絶対彼女できる、だよね)
姫花(………)
姫花(そーだよね。『ツガイ』のこともあるし、アルトだっていずれ彼女作るんだ)
姫花(そっか……)
どことなく気が重くなる姫花 ※無自覚な嫉妬
そっと傍にやってくるアルト
アルト「姫花」
姫花「わっ……な、なに?」
アルト「そんなにビビんなよ」
アルト「これ……やるよ」
姫花「え……?」
小さな紙袋を渡すアルト
姫花、紙袋を開ける
中から出てきたのは小さなチャームがついたネックレズ
アルト「似合うと思ったから。あと、さっき変なこと言って、悪かった」
姫花「あ……ありがとう」
姫花「大切にする!」
アルト「ん」
〇雑貨屋、洋服屋、ゲーセンで遊ぶ二人
〇夜、帰り道
姫花「なんか楽しすぎてあっという間だった~」
アルト「そりゃ良かった」
姫花「今日は夕飯前に帰るって言ってあるからそろそろ帰らないとだね」
アルト「………」
姫花「アルト?」
アルト「姫花。ちょっとこっち来い」
姫花「?」
手招きをするアルトに近付く姫花
アルト、姫花の手を取ってひと気の無い路地裏へ行く
姫花「え? え? どうしたのアルト、こんなところで……」
アルト「………」
アルト、無言で姫花に近付く
そのまま姫花をお姫様抱っこする
姫花「ちょっ!? ええ!?」
アルト「喋ってると舌噛むぞ」
アルト、そのまま跳躍する
吸血鬼の力で物凄い跳躍力を見せ、デパートの屋上まで上がる
お姫様抱っこされたまま、夜景を眺める姫花
姫花「うっ……わぁああああ! すごーい!」
アルト「……あのラストシーンに感動したんだろ?」
姫花「ラストシーン?」
アルト「今日観た映画の」
〇回想
姫花「お姫様抱っこして夜の街を二人で一望するシーン、もう最高だった!」
〇回想終了
姫花「覚えてて……くれたの?」
アルト「……ああ」
姫花「ふふっ……嬉しい。ありがと!」
無邪気に笑う姫花
それを見て、目を細めるアルト
姫花「……?」
アルト、そっと顔を近付け…… ※キスしそうになる
そこで姫花のケータイが鳴る
姫花「げっ。おかーさんだ!」
電話に出る姫花
母親から早く帰ってきなさいと言われる
その様子を見ながら、アルト、顔を赤らめ焦ったようにそっぽを向く
姫花「アルト、帰ろっか」
アルト「……おう」
姫花(いつか私も――)
姫花(あの映画の二人みたいな恋をしたいな)
〇姫花の家、洗面所
洗面所の鏡を見ながらチェックする姫花
姫花(今日はアルトとお出掛けだ!)
姫花「髪……変じゃないよね」
姫花母「姫花ー。アルトくん来てるわよー」
姫花「はーい、今行くー!」
玄関に向かうと、そこには私服のアルトがいる
アルト「おーっす、おはよ」
姫花「おはよう。ちゃんと起きれたんだね、偉い偉い」
アルト「いくつだと思ってんだよ」
姫花「だってアルト、いっつも時間ギリギリじゃん」
他愛ない会話をしながら出かける二人
〇繁華街を歩く二人
アルト「んで? 今日は何するんだ?」
姫花「とくにこれって決めてないけど~……」
バッグの中を漁る姫花
映画のチケット二枚を取り出す
姫花「これ観よ!」
アルト「『愛のダークロード ~恋に焦がれたヴァンパイア~』~~~? なんだよこれ」
姫花「いいでしょ~、みちるにもらったの!」
アルト「ここに本物の吸血鬼(ヴァンパイア)がいるんですけど?」
呆れるアルトと、笑顔の姫花
二人は映画館へと向かう
〇映画館、館内座席
ポップコーンと飲み物を持って席につく二人
姫花「なんかさぁ~、二人で出かけるの久々だよね?」
アルト「そうだっけか? いつも学校で一緒だから久々な気ぃしないけど」
姫花「もぉ~」
アルト「上映中、寝たらごめんな?」
姫花「ちょっとー」
アルト「だってよぉ~……」
そうこうしているうちに上映が始まる
スクリーンで、吸血鬼と女性がロマンスを繰り広げている
姫花(アルトの両親も、こんな感じで恋愛してたのかなぁ……)
姫花(アルトは吸血鬼のハーフだけど、おじさんは純粋な吸血鬼だって言ってたしなぁ)
姫花(私は今、アルトの『ツガイ』だけど……)
姫花(いずれアルトも、本物の『ツガイ(恋人)』を見付けるのかな……)
アルト「………」
映画に見入っている姫花のことを、横目で見詰めるアルト
〇ファーストフード店
映画を見終え、近くのファーストフード店でお昼を食べる二人
姫花「すぅ~~~っごく面白かった!」
アルト「すーーーっげぇつまんなかった!」
声を合わせて見合う二人
姫花「えぇ~~~私ラストけっこう泣いてたんだけどー。お姫様抱っこして夜の街を二人で一望するシーン、もう最高だった!」
映画のワンシーンを思い出して感激する姫花
頬杖をつき、つまらなそうにするアルト
アルト「ふーん。吸血鬼の描き方が雑だし違いまくってるしで、俺は全然話に集中できなかったね」
姫花「そりゃ、本物の吸血鬼さんはそうかもしれないけど……」
少し声を潜める姫花
姫花「ねえ。おじさんやアルトが普通に生活してるってことはさ、この世界には他にも普通に暮らしてる吸血鬼がいるってこと?」
アルト「……父さんが言うにはそうらしいけどな」
アルト「よくホラー映画とかで脅威のモンスターみたいに吸血鬼は描かれてるけど、本物の吸血鬼(俺たち)は違う。あんなむやみやたらに人間を襲いはしない」
姫花「そうなの? どうして?」
アルト「普通に考えて、そんな好き勝手してたら食料である人間が底を尽きるし……そもそも、現代の人間の持つ兵器に、吸血鬼はもう束になったって太刀打ちできねぇよ」
姫花「な、なるほど」
アルト「それに噂だと、ヴァンパイアハンターってのが常に吸血鬼(俺たち)に対して目を光らせてるんだとさ。映画にもチラッと出てただろ」
姫花「ああー。吸血鬼の天敵みたいな人たちかぁ」
しばらく会話しながら飲み食いする二人
姫花「ってか高校生になって一ヵ月経つけど、アルトはもう学校慣れたー? 私はクラスの人覚えるので精一杯だよー」
アルト「でも友達もういるだろ?」
姫花「みちるは中学の時からの友達だもん」
アルト「………」
机に突っ伏す姫花
アルト、姫花の頭を優しく撫でる
アルト「俺がいるじゃん」
姫花「……ん。ありがと。でも……」
アルト「でも?」
姫花、ガバっと起き上がる
姫花「でもやっぱり、新しい友達ほしいし、彼氏だって作ってみたいよー!」
アルト「……彼氏」
アルト、姫花の『彼氏』という言葉に反応する
アルト「姫花が彼氏、とか……」
姫花「とか?」
アルト「……絶対むり」
姫花「なっ……なんでよ!?」
アルト「……なんとなく」
そっぽを向くアルト ※無自覚な嫉妬
姫花(な……なによなによアルトのやつ!)
姫花(自分は顔がイイから選びたい放題かもしれないけど、私は無理ってどういうことよ!)
〇ショッピングモール
雑貨屋で色々物色している姫花とそれを無言で見守っているアルト
二人の間に流れる空気が少し重い
姫花「………」
アルト「………」
姫花(あれからアルト、黙りこくっちゃってさ、なんなのよ、もう!)
姫花(だいたいアルトだって彼女作るのもしかしたら絶対むりかもしれな……)
アルトの顔を見て、イケメンだと再認識する姫花
姫花(はぁ~~~。アルトはむしろ絶対彼女できる、だよね)
姫花(………)
姫花(そーだよね。『ツガイ』のこともあるし、アルトだっていずれ彼女作るんだ)
姫花(そっか……)
どことなく気が重くなる姫花 ※無自覚な嫉妬
そっと傍にやってくるアルト
アルト「姫花」
姫花「わっ……な、なに?」
アルト「そんなにビビんなよ」
アルト「これ……やるよ」
姫花「え……?」
小さな紙袋を渡すアルト
姫花、紙袋を開ける
中から出てきたのは小さなチャームがついたネックレズ
アルト「似合うと思ったから。あと、さっき変なこと言って、悪かった」
姫花「あ……ありがとう」
姫花「大切にする!」
アルト「ん」
〇雑貨屋、洋服屋、ゲーセンで遊ぶ二人
〇夜、帰り道
姫花「なんか楽しすぎてあっという間だった~」
アルト「そりゃ良かった」
姫花「今日は夕飯前に帰るって言ってあるからそろそろ帰らないとだね」
アルト「………」
姫花「アルト?」
アルト「姫花。ちょっとこっち来い」
姫花「?」
手招きをするアルトに近付く姫花
アルト、姫花の手を取ってひと気の無い路地裏へ行く
姫花「え? え? どうしたのアルト、こんなところで……」
アルト「………」
アルト、無言で姫花に近付く
そのまま姫花をお姫様抱っこする
姫花「ちょっ!? ええ!?」
アルト「喋ってると舌噛むぞ」
アルト、そのまま跳躍する
吸血鬼の力で物凄い跳躍力を見せ、デパートの屋上まで上がる
お姫様抱っこされたまま、夜景を眺める姫花
姫花「うっ……わぁああああ! すごーい!」
アルト「……あのラストシーンに感動したんだろ?」
姫花「ラストシーン?」
アルト「今日観た映画の」
〇回想
姫花「お姫様抱っこして夜の街を二人で一望するシーン、もう最高だった!」
〇回想終了
姫花「覚えてて……くれたの?」
アルト「……ああ」
姫花「ふふっ……嬉しい。ありがと!」
無邪気に笑う姫花
それを見て、目を細めるアルト
姫花「……?」
アルト、そっと顔を近付け…… ※キスしそうになる
そこで姫花のケータイが鳴る
姫花「げっ。おかーさんだ!」
電話に出る姫花
母親から早く帰ってきなさいと言われる
その様子を見ながら、アルト、顔を赤らめ焦ったようにそっぽを向く
姫花「アルト、帰ろっか」
アルト「……おう」
姫花(いつか私も――)
姫花(あの映画の二人みたいな恋をしたいな)