せ、の字も知らないくせに


「……」
「……」
「一個いい?」
「……」
「童貞、確―――」
「いや、まあ、ええと」


 私に対して目を泳がせている表情が珍しすぎて、食い入るように見つめてしまう。上気した頬はきっと私より赤くなっているし、目も潤んでいる。そういえば昔よく泣いてたっけなんてしみじみ思い出した。


 正直押し倒されてから覚悟したし、嫌ではなかった。初めてのキスだったけれど、迫ってきたわりに始まらなくてやっと来たと思ったら離れようとするので無意識に後頭部を掴んで舌をねじ込んでしまった。

 こちとら月9のドラマ片手にキスはぬいぐるみ相手に予習済みである。ふう、ふう、とか息を洩らしセイが余裕なくなっていくのと同時にこちらは冷静になった。思っているより喘ぐじゃん…、みたいな。

 それでも普段馬鹿にしているこの男が自分の手でめちゃくちゃに興奮して目が潤んでいく姿に心が満たされていくのを感じ口元が緩む。軽く嗜虐心さえ沸く。上に跨っていたはずのセイはいつの間にか私に組み敷かれている。そこからというものの制服を剥いて触りまくった。息切れしているセイに煽ってやる。


「かっこつけたかったんだ」
「!!」
「セックスのセの字も知らないくせに」

 そういってやればたちまち悔しそうな泣きそうな顔をした。

「うるっさいな…」
「私に彼氏できて焦ったんだ」
「黙って」
「んふふふふふ」

 そう。今日その顔が見たかったの。
 彼氏のことはどうでもよくなって今はセイとの行為に没頭したい。
 頬を両手に包んでもう一度舌を突っ込んだ。
  

 
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