貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「なにをしてるんだ、やめないか」
 啓一が割って入り、ららかを止める。

「お騒がせをして申し訳ありません、えーと、どっちだ? どっちでもいい、英里子、ららかを連れてすぐ帰れ」
「いえ、ここまで騒ぎになったのですから最後までいていただきます。百合花さんの潔白を証明しますから」

「百合花さん、大丈夫?」
 春子がららかの服を着た百合花に声をかける。

 百合花は驚くとともに嬉しくて言葉をなくす。
 母は見抜けなかったというのに、迅に続いて春子が自分を見分けてくれた。

 宗久と京司も現れるが、なにも声をかけずに成り行きを見守る。それが迅を信頼している証のように思えて、百合花は彼の家族の絆の深さを知ったように思った。

「このサインは百合花さんのものじゃない。契約書は金融会社にも保管されているだろう。書類を提出してもらって指紋を鑑定すれば、誰が書いたものかはっきりする。おそらくは蒔田ららかさんの借金だろう」
「はあ!? 指紋なんて双子なんだから一緒でしょ!」

「双子でも指紋は違う。声紋も違うし、静脈認証も個別のパターンとなる」
「嘘よ! だって顔認証はできるのに!」

「だったら警察に確認してもらうか。金融会社から詐欺で告訴されたあとになるだろうがな」
「告訴って、なによ……」
 ららかの勢いが萎んでいく。

「百合花さんが飲酒運転をしたのはいつだ?」
「それは……えっと」
 ららかが言い淀む。迅は呆れたように息をついた。
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