貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
 いつもおどおどして恥ずかしそうにしている彼女が、自分のために矢面に立とうとしてくれた。その事実がなによりも嬉しく愛おしい。

「本質的なところは、みなさまにもおわかりいただけることでしょう。彼女に責任はありません」
 迅はまっすぐな瞳で会場を見渡す。会場の誰もが頷き、温かくふたりを見守ってくれている。

「ご存じの通り、ただ親として子として産まれただけでは絆は生まれません。彼女は不運にして家族の絆に恵まれませんでした。ですが、歪むことなく優しい女性に成長しました。私は百合花さんに出会い、彼女と強い絆を結びたいと思いました」
 言葉を切ると、優しく愛を込めて百合花を見て、それからまた会場を見る。

「私の愛する婚約者は私をかばってくれる優しい人です。彼女が私を選んでくれたこと、大変嬉しく思います。どうぞこれからの私たちをお見守りください」
 迅が頭を下げると、会場からは拍手が沸いた。

 百合花も頭を下げる。こんなに温かい人たちに包まれたのが初めてで、言葉にならないなにかが込み上げてきて止まらない。

 迅はマイクを司会に渡し、ステージから降りた。横に倒れている螺旋を崩してユリを何本か抜き取る。同じく落ちていたリボンで器用にユリを束ね、百合花の前に膝をついた。

「百合花さん、結婚を決めてくれてありがとう。どんなときでもあなたを守り、一生幸せにすると誓います」
 百合花は驚き、彼を見つめた。

 目の前で螺旋がほどかれ、新たに結ばれて彼女のもとに届いた。
 彼が、自分との螺旋を新たに結んでくれたように思えてしまう。

 百合花は目を潤ませてユリの花束を受け取る。
「ありがとうございます。一生おそばにおいてください」
 百合花の答えに、会場から再び拍手が沸く。
 たくさんの祝福に囲まれる中、迅は百合花を熱く抱きしめた。
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