貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「みなさまにお詫びを申し上げてきます。百合花さん、少し待ってて」
 迅はスタッフからマイクを受け取り、ステージに上がる。
 会場の目が自分に集まったのを確認し、迅は話し始める。

「みなさま、本日は大変申し訳ございません。私の管理不足によりお騒がせいたしました。すべては私の不徳といたすところであります」
「違います!」
 遮ったのは百合花の声。

 会場の目がいっきに百合花に集まった。
 百合花は怯む。
 思わず叫んでいたが、なにか考えがあったわけではない。

 だけど。

 百合花はぎゅっと自身の手を握る。
 自分のせいでこうなったのだ。彼のせいにしてはいけない。

 電話がかかってきたあのとき、ららかに従わずに彼に連絡していればよかった。自分の判断ミスで大きなことになったのだから、自分に責任があることを言わなくてはならない。

 百合花は決心して歩いた。
 注目を浴びながら歩くのは苦痛だったが、ここで怯むわけにはいかない。
 ステージまで行くと、ぺこりと頭を下げてからみんなに向かって言う。

「私のせいです、私がご迷惑をおかけしてしまって……だから彼は悪くないんです!」
「百合花さん」
 迅は愛おし気にその名を呼び、肩を抱く。
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