貴方が結ぶ二重螺旋 ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
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事務所ビルの前で待っていた百合花は、出て来た迅を見てパッと顔を輝かせた。
「お疲れ様です!」
「ここまで来させて悪い。待たせたか? 中で待ってくれて良かったんだが」
「大丈夫です、今来たところです」
明るく答える百合花に、迅が感慨深そうに目を細める。彼女は首をかしげて彼に聞く。
「どうかしました?」
「最初は怯えていた君がここまで変わったことが嬉しくて」
言われて、百合花は面映ゆい気持ちになる。
「変われたのは、あなたのおかげです」
迅は愛し気に百合花の頭を撫で、それから彼女から少し離れて立っていた男女の護衛に目で合図をする。
本日の任務終了を告げられたふたりはその場を立ち去り、百合花と迅が残された。
迅が手配したタクシーが到着し、ふたりは乗り込む。
そのまま、婚約披露の場でもあったオーベルジュへ向かった。
到着して迅が名を告げると、一番奥の部屋へと案内される。
そこは庭に突き出したように作られたコンサバトリーで、庭に面した大きなガラス窓からは景色が良く見える。
庭には一面に咲き乱れる白ユリが白いLEDでライトアップされ、白銀にきらめく世界が広がっていた。
食事の前菜にはユリ根が使われていた。
ユリ根は白い宝石とも言われる高級食材で、栽培は手間も時間もかかる。培養施設で種子を育ててから母球を作り、そこから子球を作って増やして植えて、途中で植え替えて収穫まで六年かかる。傷つきやすいため、出荷には細心の注意が求められる。同じ畑にユリ根を育てるには七年を開けなくてはならず、広い敷地が必要となる。
迅と一緒に料理を美味しくいただく。初めて迅に会ったときは緊張でなにもわからなかったが、今日は見た目も味も会話も、なにもかもが楽しい。