貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
 釣り書きには書かれていなかったが、双子の妹がいると聞いていた。
 入れ替わって来たのか? どうしてそんなことを? 許して、とは? どうして姉に『様』をつける? 奥様とは?

 訪れたときから怯えた様子を見せ、食事はまるで罰ゲームのように苦しそうだった。
ハイクラスのレストランの食事で機嫌を直す人は見たことがあるが、彼女はまるで逆だ。食事が進むにつれて苦しそうになり、最後には倒れた。緊張のせいばかりではないだろう。

 迅は救急ではなくホテルのフロントに電話をかけた。
 双子、腕の傷。
 彼の記憶がゆすぶられる。

 助けると誓ったのに助けられなかった、あのときの少女が重なる。
 まさか、と思いながらも完全には否定できずにいた。

***

 目が覚めた百合花はぼんやりと周囲を見回した。
 ここはどこだろう。なんで寝ているのだろう。

「気が付いたか」
 その声に、百合花はハッと起き上がって彼を見た。彼はソファに座っていたが、立ち上がって彼女に寄り、ベッドの端に座る。

「私、どうして」
「倒れたからホテルに部屋をとって休ませた。医者に往診にきてもらったが、おそらくは貧血か、過度の緊張によるものだろうということだった」

「すみません、ご迷惑をおかけして」
「それはいいが、君は誰だ」
 問われた言葉に、百合花はびくっとした。
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