貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
 助けると言われたとき、あのときの少年と迅が重なった。
 まさか、本当に彼が?

「子供の頃、珍しくパーティーに連れていかれたことがありました。双子が見たいと父が誰かに言われたそうで、姉と一緒に白いワンピースを着て行ったんです。天使の羽をつけてもらって、そんなことは初めてだったので、最初は喜んでいました」

 到着したら見世物のように大人の前に引きだされ、怖かった。姉はちやほやされて嬉しそうだったが、慣れていない百合花はただ怯えていた。

「大人が見ていないときに姉にジュースをかけられて、『私と同じワンピースなんて許さない!』って怒られて破られました」
 迅は真剣な顔でそれを聞いている。
 百合花は続けた。

「それで庭の奥に逃げて泣いていたら、男の子が来ました。彼はクッキーと一緒にユリのチャームをくれたんです」
「そうか」

 視線を感じて彼を見ると、彼の目が慈愛に細められていて、百合花は慌ててコーヒーを口に含んだ。苦いはずのそれは、なんだか甘く感じられた。

「その子、私に言ってくれたんです。『弁護士になって君を助けるから! 絶対に悪い奴をやっつける!』って。私の大切な思い出です」

 何度も思い出し、幼いながらに淡い恋を抱いた。いつか彼が迎えに来てくれるのではと期待したこともある。
 もしかして、と彼に問いたくて、でも言葉にできなくて目を向ける。
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