貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
「お引き取り下さい。写真はこちらで処分しておきます。もしこれを百合花さんの行いとして外に出した場合は名誉棄損、あるいは侮辱罪で告訴します。どちらも刑法に抵触する犯罪です」

 現時点では迅に話しただけであり、名誉棄損罪も侮辱罪も公然性がなく構成要件を満たさない。逆にネットでばらまくなど多数の耳目に触れさせて公然性が成立したならすぐにでも百合花の同意を得て告訴するつもりだ。が、それだと中傷が行われたあととなるため、手遅れ感が否めない。きつく警告しておく必要があった。

 英里子は答えず立ち上がる。
「行くわよ、ららか!」
「待ってよ!」
 ずかずかと歩き出す英里子にららかが慌てて追いかける。
 が、出口で振り返って迅をにらむ。

「劣化コピーを選んだこと、後悔するわよ」
「しませんよ。そもそも劣化コピーではありません。百合花さんはただひとりのオリジナルです」
 迅はゆったりと笑みを浮かべて答える。
 ららかは眉間に皺を寄せて迅をにらみ、それから出て行った。

 後ろ姿を見送り、迅は息をついた。
 えも言われない気疲れがのしかかる。

 休憩コーナーで缶コーヒーを買って椅子に座る。背もたれは木製で座面には黄味がかってくすんだ緑の布が貼られている。テーブルは八角形で、支柱は螺旋のようにねじれていた。

「お疲れ」
 にやにやしながら真哲が現れた。缶コーヒーを買って迅の向かいに座る。
「聞いたよ、昨日は女の子が来ていちゃいちゃしてたんだって?」
「なんですか、それ」
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