貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~

***

 月曜日、迅は休憩時間になると大きく伸びをした。
 百合花との同居生活は思ったより苦痛だった。

 すぐそばにいるというのに、手が出せない。
 湯上りの彼女は頬にほんのりと朱が差して色っぽい。思わず見つめると恥ずかし気に照れた姿がまたかわいい。

 だが、家に来てもらうときに「なにもしない」と約束した以上は我慢が必要だろう。それをいつまで続ければいいのかわからない。
 なんでそんな苦行を選択してしまったのかと己を呪ったが、朝になると彼女が用意してくれた食事をふたりだけでとる。それに関しては至福の時間となった。

 帰ったらまた天国と地獄を味わうのかと思うと複雑だ。が、やはり離れて暮らす選択はしたくない。今夜のメニューには先日買ったユリ根を使う、と百合花がにこにこしていたから夕食が楽しみだ。

 百合花をデートに誘ったときには柄にもなく緊張した。
 車に乗っているときには見つめられ、それもまた緊張を高めた。が、彼女の隠しきれない思いが伝わるようで嬉しくもあった。
 好意的に見てくれていることに気付いていたが、自分が好意を伝えるのは苦境につけこむ形になりはしないかと気になった。

 だが、結局は誰にも渡したくない気持ちが(まさ)った。
 デートを楽しんだ翌日には春子に正式に婚約したことを報告した。
 春子は「あらあら!」と驚きながらも祝福してくれた。
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