貴方が結ぶ二重螺旋  ~鋼鉄の敏腕弁護士は遺伝子レベルで彼女を愛す~
 迅はそうそうに婚約発表のパーティーを開くことを決めた。
 婚約したのが百合花である事実を広め、牽制をかけて守るためだ。

 会場は目星をつけてある。百合花を――まだ名前も知らないころに彼女を探す過程で見つけたオーベルジュだ。ふたりの婚約披露にこれほどふさわしい場所もないだろう。
 迅と百合花の主催として、両家の両親は招待客とする。

 百合花の父親はともかく、母と姉はどうしたものか。
 母親はまだしも外面を保つだろうが、問題はららかだ。自身のホスト通いを百合花にすりかえて噂を流し、写真を偽造するずるさがある。やることは稚拙で杜撰。狡猾とは言い難く、それゆえになにをしでかすかわからない。

 幸運に恵まれてようやく会えた百合花を、今度こそなんとしても守り抜く。
 迅はそう決心していた。

***

 夕飯の買い物に行こうとした百合花は、玄関を開けて驚いた。
 黒いスーツの男性がふたり、仁王立ちで立っていたからだ。

「あの、どなた……」
「警備会社から参りました。深空様より、お嬢様の護衛を申し使っております」

 お嬢様って、護衛って。
 朝、迅がボディーガードを雇ったと言っていたことを思い出す。まさか今日から玄関の外で待機されていたとは思いもしなかった。
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