クールな天才作家は彼女を激愛で溶かしたい
「すみませんっ…」
私はゴシゴシとメイクが崩れるのも気にせず目を擦り、鼻をすする。
『何があった?』
先生も家を出るのか、ガサガサと動いてる音がする。
ヴォンとエンジン音が聞こえた。
「いや、あの…、私の不注意で…」
『不注意?』
「その、カバンを引ったくられて…」
『おい。無事なんだろうな』
先生の声が少しだけ強くなる。
「無事です! 先生の本は守り抜きましたから! 命に変えてもこれは絶対に取られるわけにはいきませんので! 安心してください!」
『君だよ。君は無事なのか?』
え? 私?
『本なんてまた書けばいい。君の方がずっと大事だ』
先生っ…
なんで優しくするの…
『無事なのか?』
「だ、大丈夫です」
ボロボロですけど。
『現在地、マップで送って』
私は言われた通り自分の現在地を送る。