クールな天才作家は彼女を激愛で溶かしたい
先生は黙ってかがみ、私の足元で側溝に挟まったヒールを抜き取る。

「取れた! 凄い!」

あんなに引っ張っても取れなかったのに!

あ…でもめちゃくちゃヒールの根本が傷ついてボロボロになってしまっている。

私がグイグイやったからだ。

そして先生は私をクルッと180度回転させる。
あ、スカートのスリットが…
私はそこをそっと隠す。
手遅れだろうけど。

『はぁ…、本当に…。調子狂うな』

先生はため息をついてボソボソと何か言う。
ちょっと後半、聞こえなかった。

「す、すみません…」

すると先生は何も言わずにヒールを揃えて持ったかと思えば私をお姫様抱っこした。

「え!? ちょっ、重たいですから! 歩けますから!」

若干暴れる私をものともせず、助手席のドアを器用に開けて私をそこに乗せ、バンッとドアが閉まる。

お、怒ってる?
呆れてしまった?
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