君を思うと、胸がぎゅっと痛くて
夏が来て、約束の日はあっという間に来た。
今日は8/15。
この世界では8/16に倒れて意識は心臓移植を受けない限り、戻らないらしい。

「陽菜! おはよ! 元気でよかったァー! めっちゃ可愛いねそのワンピ」

「さゆこそ。ミニスカ超似合ってる! ふふ。うちら初恋の男を前にめかしこんじゃって」

「だね!」

「おいお前ら。うるさいぞ。はじめから飛ばすと体力持たないんだから温存しとけ!」

「無理〜!」

「会長こそ、水着で悩殺されないようにしてくださーい」

「ハハッ。若いな」

運転手のはる兄は笑ってた。
今日はアキは来なかった。

「明日、迎えに行くから」

そう言ってくれた。
私は笑顔で頷いた。

ザザーザザー

波の音が聞こえる。

「海〜!!!」

私と陽菜は抱き合ってクルクル回った。
めっちゃ楽しい。

「ねぇ、陽菜。自由研究、結局あの後上手く進まなくてごめんね。私の方が体調悪い日増えちゃって」

「いいんだよ。さゆが今日元気でよかった」

「あのね。今日は3人でめいっぱい楽しも! 恨みっこなしでさ。でね。明日だけ。明日で最後にするって約束するから、明日奏と、デートさせて」

私は真剣に頭を下げた。

「うんーー。いいよ」

「あのね、陽菜。私は陽菜が生きて、奏と幸せになってほしい。本気でそう思ってる。だけど、私の気持ちもちゃんと奏に伝えさせて。それだけ、お願いします」

「分かった。ねぇ、陽菜、さゆに勝てるのかな?」

私は陽菜の頬っぺたをバシッと思い切り叩いた。
痺れる手が痛くて、涙が少しだけあふれた。

「勝つとかじゃない! 陽菜はこの世界で生きるんだよ」

「ーーごめん、ありがとう」

陽菜が手をさすってくれた。
私は陽菜の頬を撫でた。
言葉はもう要らなかった。

「ほら、楽しも! 奏たち来るよ!」




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