婿入り希望の御曹司様とCool Beautyな彼女の結婚攻防戦〜長女圭衣の誰にも言えない3つの秘密〜花村三姉妹 圭衣と大和の物語
「えーっと、全部なくなった。
結婚どころか婚約も。……、大和と別れちゃったよ、あはは〜」
軽く笑ってみせた。暗くなるのは嫌だった。
せめて、自分の口から話すときくらいは、明るくいたかった。
「……、それ、本当か? 初めから、全部教えろ」
紫道は私とは対照的に、眉間に深く皺を寄せていた。その眼差しはまっすぐで、どこまでも真剣だった。
どこから話せばいいのか迷ったけれど、結局は、順を追って話すしかなかった。
ピーターズファミリーコンベンションでの出来事。父さまの態度。そして、引っ越しを考えた理由。
話しながら、心の奥で少しずつ、自分自身が整理されていくような気がした。
「プロポーズを先延ばしにした私も悪いの。でもね……、言えなかったんだ。ピーターズファミリーのことも、ガーリーロリータファッションのことも、分籍のことも」
ビールの泡がはじける音だけが、静かな部屋に響く。
「受け入れてもらえなかった時のことを考えると、怖くなっちゃって。それに、大和も自分のことを教えてくれなかったし……、まあ、お互い様か、って思う」
紫道は黙ったまま、視線だけで『聞いてるよ』と伝えてくれている。
その静けさに支えられて、私はもう少しだけ話す勇気を持てた。
「みんなの目には、花村家って仲のいい家族に見えてると思うの。だからこそ、分籍した理由を話すのが怖かった。大和がどう反応するかも、怖くて……、結局、言えなかった」
焼き鳥のタレの香ばしい匂いが鼻先をくすぐる。でも、食欲なんてまるで湧いてこなかった。
「妹たちが、慶智の王子たちと結婚したでしょ?うちももう、“あちら側の一族”になっちゃったわけ。そうなると、これからも大和と顔を合わせることになる」
言いながら、自分の中にある“しがらみ”という言葉が浮かんで苦笑する。
「いろんな意味で、遠くに引っ越した方がいいかなって思ったの。だけど、葉子がピーターズファミリーとのコラボ契約をしてきて……。東京郊外に部屋を借りようとしても、全然うまくいかなくて」
そこで言葉を切ると、紫道は少しだけ目を伏せた。
何かを考えている。……、その時間が、なぜか苦しかった。
沈黙の中に、見えない答えを探すような紫道と、逃げるようにビールを飲み続ける私。
苦くて冷たい泡が喉を滑り落ちても、心は一向に晴れなかった。
結婚どころか婚約も。……、大和と別れちゃったよ、あはは〜」
軽く笑ってみせた。暗くなるのは嫌だった。
せめて、自分の口から話すときくらいは、明るくいたかった。
「……、それ、本当か? 初めから、全部教えろ」
紫道は私とは対照的に、眉間に深く皺を寄せていた。その眼差しはまっすぐで、どこまでも真剣だった。
どこから話せばいいのか迷ったけれど、結局は、順を追って話すしかなかった。
ピーターズファミリーコンベンションでの出来事。父さまの態度。そして、引っ越しを考えた理由。
話しながら、心の奥で少しずつ、自分自身が整理されていくような気がした。
「プロポーズを先延ばしにした私も悪いの。でもね……、言えなかったんだ。ピーターズファミリーのことも、ガーリーロリータファッションのことも、分籍のことも」
ビールの泡がはじける音だけが、静かな部屋に響く。
「受け入れてもらえなかった時のことを考えると、怖くなっちゃって。それに、大和も自分のことを教えてくれなかったし……、まあ、お互い様か、って思う」
紫道は黙ったまま、視線だけで『聞いてるよ』と伝えてくれている。
その静けさに支えられて、私はもう少しだけ話す勇気を持てた。
「みんなの目には、花村家って仲のいい家族に見えてると思うの。だからこそ、分籍した理由を話すのが怖かった。大和がどう反応するかも、怖くて……、結局、言えなかった」
焼き鳥のタレの香ばしい匂いが鼻先をくすぐる。でも、食欲なんてまるで湧いてこなかった。
「妹たちが、慶智の王子たちと結婚したでしょ?うちももう、“あちら側の一族”になっちゃったわけ。そうなると、これからも大和と顔を合わせることになる」
言いながら、自分の中にある“しがらみ”という言葉が浮かんで苦笑する。
「いろんな意味で、遠くに引っ越した方がいいかなって思ったの。だけど、葉子がピーターズファミリーとのコラボ契約をしてきて……。東京郊外に部屋を借りようとしても、全然うまくいかなくて」
そこで言葉を切ると、紫道は少しだけ目を伏せた。
何かを考えている。……、その時間が、なぜか苦しかった。
沈黙の中に、見えない答えを探すような紫道と、逃げるようにビールを飲み続ける私。
苦くて冷たい泡が喉を滑り落ちても、心は一向に晴れなかった。