色褪せぬ恋のポラロイド

そして、目が覚め、ぼんやりとした視界に誰かの顔が映り、「鈴?大丈夫?」と聞こえてきた。

次第にハッキリと見えてきて、心配そうにわたしの顔を覗き込んでいたのは静恵さんだった。

「静恵さん、、、」
「突然倒れたからビックリしたわ!」
「え、わたし、倒れたんですか?」
「そうよ。まぁ、あの状況なら、、、仕方ないわよね。」

静恵さんの言葉で思い出した。

あ、そうだ。
真吾様に妻にするならわたしが良いと言われ、旦那様と奥様に賛同され、慧吾様には「俺が先に婚約を申し込んである。」と言われて、頭の中がグルグル回って意識が薄れてきて、、、

「鈴、慧吾様に婚約申し込まれてるって、本当なの?!」

静恵さんにそう言われ、わたしは恥ずかしさのあまり布団を鼻まで被り頷いた。

「えぇ?!本当だったの?!凄いじゃない!!!」
「でも、、、」
「しかも、真吾様にまで妻にしたいだなんて言われて、、、鈴、モテモテ〜!」
「やめてくださいよ、、、わたし、どうしたらいいのか、、、」

わたしが弱々しくそう言うと、静恵さんは「鈴の気持ちはどうなの?」と言った。

「、、、分かりません。だって、真吾様は今までそんな素振りもなければ、何も言われたことはなかったし、慧吾様だって帰国したばかりで、、、。」
「んー、まぁ、そうよね。突然言われてもね。それなら、これから決めればいいんじゃない?」
「そんな簡単に言わないでくださいよぉ、、、。」
「でも、神城家の真吾様と慧吾様から好かれてるなんて凄いことよ?!同じ屋根の下暮らしているんだから、そのうち自分の気持ちが見えてくるはずよ。その時に答えを出せばいいじゃない。旦那様も奥様も、真吾様と慧吾もお優しい方たちばかりなんだから、無理強いはしないはずよ?ねっ?」

静恵さんの言葉に照れながら頭が追いつかず、わたしは「そうですね、、、」と答えることしか出来なかった。

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