色褪せぬ恋のポラロイド

それから静恵さんは「今日はしばらく休んでなさい。鈴、ファイト!」と、まるで恋愛ドラマでも見ているようなウキウキした様子で部屋から出て行った。

もう、、、ファイトって、、、

わたしは考えた。
今までの事を。

慧吾様とは、幼い頃に一緒に遊んだり、膝枕をしてあげたり、一緒に出掛ける機会があって、、、最近帰国されてからは、突然だったけど慧吾様のお気持ちを伝えてくださった。

でも、真吾様は、、、?

慧吾様とは違い、真吾様は出会った頃から大人びていて、いつも勉強をされている印象しかなく、まだお若いのに代表取締役社長に就任されて真面目で寡黙な方という感じ。

口数が少ないから、あまり個人的な話をしたことはなく、真吾様のことはよく分からない。

なのに、、、どうしてわたしを妻にしたいだなんて言い出したんだろう。

そんなことを考えていると、部屋のドアがノックされ「鈴?起きてる?」と声を掛けられた。

慧吾様の声だ!

わたしはどんな顔をして会えばいいのか分からず、寝たふりをした。

すると、ドアが開く音が聞こえ「鈴?まだ寝てるのか。」という声と共にドアが閉まる音がして、慧吾様が近付いて来る気配がした。

そして、ベッドの脇が少し沈み、慧吾様が座ったんだなぁということが分かる。

「さっきは、悪かったな。混乱しちゃったよな。」

慧吾様はそう言うと、わたしの頬に触れた。

それから慧吾様は「でも、、、兄さんには、鈴を譲れない。絶対に。」と呟き、頬に触れたその手でそのままわたしの髪を撫でたのだった。

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