色褪せぬ恋のポラロイド

その日の夜、22時頃。

わたしはお手洗いに行く為に一度部屋を出た。

そして、済ませてから部屋に戻ろうとすると、わたしの部屋の前に背中を壁につけ、腕を組む真吾様の姿があった。

真吾様はわたしに気付くと、壁から背中を離し、「体調はどうだ?」と訊いてくださった。

「もう大丈夫です。ご心配おかけして申し訳ありませんでした。」

わたしがそう言い、頭を下げると、真吾様は「それなら良かった。あれは、俺たちが悪かった、、、申し訳ない。」と少し照れくさそうに言った。

「鈴。」
「はい。」
「ちょっと話せるか?俺の部屋で。」

わたしはその言葉にドキッとしながら、「はい。」と返事をした。

それから、わたしは真吾様のあとに続き、真吾様の部屋へと向かった。

真吾様は部屋のドアを開けると、わたしを先に中へ促し、それから自分が部屋へ入るとドアを閉めた。

真吾様の部屋は、本棚が多く、難しそうな本ばかりが並べられていた。

「鈴。」
「あ、はい。」
「慧吾が言っていた事は、、、本当なのか?」
「慧吾様が言っていた事、、、?」
「そのぉ、、、婚約を、申し込まれたと。」
「あ!は、はい、、、本当です、、、。」
「そうか、、、」

真吾様はそれから黙り込むと、ベッドの方へ歩いて行き、ベッドに腰を下ろした。

真吾様と二人きりって初めてかも、、、
何だか、変に緊張してしまう。

< 17 / 36 >

この作品をシェア

pagetop