色褪せぬ恋のポラロイド

「あ、あのぉ、真吾様。」
「ん?」
「一つ、、、お聞きしたいことが、あるのですが、、、」
「何だ?」
「えっとぉ、そのぉ、、、どうして、わたしを、、、妻にしたいと、、、思ってくださったんですか?」

わたしは勇気を出して真吾様に訊いてみた。

すると、真吾様は表情は変えないものの耳を赤く染め、「初めて出会った日のことを覚えているか?」と言った。

わたしが真吾様と初めて会った日、、、

それは、わたしが施設を出た日だ。

あの日は雨が降っていて、行く宛も無く、わたしは雨に打たれながら彷徨っていた。

その時に旦那様と真吾様が乗る車がわたしの横に停まり、旦那様に「君、そんなに雨に濡れて大丈夫かい?行くあては?」と訊かれ、わたしが首を横に振ると、旦那様は車に乗せてくださり、この神城家に招いてくださったのだ。

「はい、覚えております。忘れるわけがありません。行く宛もないわたしを、旦那様と真吾様が救ってくださった日ですから、、、」
「俺は何もしていない。だが、、、あの時、雨に濡れながら寂しそうに歩く鈴を見て、、、ガキながらに、この人を幸せにしたいと思ったんだ。」
「えっ、、、」

真吾様はわたしから目を逸らせていたものの、そう言ってくださり、わたしは驚いた。

「だから、勉強を頑張って、いつか親父の跡を継ぐことが出来て、結婚の時期が来たら、、、鈴を妻にしたいと、ずっと思っていたんだ。」

真吾様がそんなことを思っていてくださってたなんて、、、

初めて聞く真吾様の気持ちに、わたしは自然と涙が溢れていた。

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