Music of Frontier
一体、俺の何がそんなに気に入らないのか。

俺の部屋の先輩達は、初日から俺に敵愾心剥き出しだった。

暴力こそないものの、毎日ちくちくと嫌味を言われるし、子供っぽい嫌がらせは一日三回おやつ付き。

いや…何が気に入らないのかは分かっている。先輩達は、俺という人間の全てが気に入らないのだ。

俺が礼を失したとか、何か失言をしたとか、そういうことではない。

自慢するつもりはないが、俺は学年で一番の成績を誇っており、かなり優秀な生徒に分類されていた。

そして、姉。

この学校を出て、今は帝国騎士団で副隊長をやっている姉が、俺に対するやっかみの原因だった。

優秀な姉がいる。それだけでも目立つのに、その弟である俺も、姉に負けないくらい優秀と来た。

先輩達はそれが気に入らないらしく、俺に対する嫌がらせで、憂さ晴らししている訳だ。

俺にとっては迷惑でしかない話だ。

お陰で、俺は寮に帰るのが憂鬱で仕方ない。今日は何を言われるのかなぁと思うと…。足も重くなるというもの。

「まぁまぁ、元気出せよルトリア。先輩達はいつか卒業するんだからさ」

エミスキーは俺を励まそうと、明るくそう言った。

「そりゃそうですけど…」

最悪なことに、俺の部屋の先輩達って、二年生と三年生ばかりなのだ。

部屋割りは完全にランダムなので、一年生一人と六年生が五人の部屋とか、一年生から六年生が一人ずついる部屋とか、ばらばらに割り振られている。

しかも、一度部屋割りが決定すると、卒業まで変わることはない。

従って、俺は五年生になるまで、今の先輩達とは別れられないのだ。

…こんなことって、ある?

五年生になるまであの先輩達に付き合わなければならないなんて、考えただけで涙が出そうだった。
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