Music of Frontier
帝立帝国騎士官学校は、言わずと知れたルティス帝国最高峰の教育機関。

毎年受験倍率は目玉が飛び出るほどに高く、でもこの恐ろしい受験戦争を乗り越えれば、将来は約束されたようなもの。

卒業後帝国騎士団に入るときは、高い役職を約束されている。

帝国騎士団とは何ぞ?と思われたことだろうから、まず説明しておこう。

帝国騎士団は、このルティス帝国の中枢を担う政府機関。

そして騎士官学校は将来、その帝国騎士団に入る帝国騎士を育成する為の教育機関である。

国内に騎士官学校はたくさんあり、偏差値も学校によってまちまちであるが、帝国騎士官学校は国内では最もレベルの高い学校。

従って、帝国騎士官学校を卒業すると、帝国騎士団に入ったとき、高い役職につくことが出来る。

簡単に説明すると、帝国騎士官学校とは、将来えら~い人になる為に行く学校なのである。

でも、当然そういう学校は簡単には入れない。

地方にある私立の騎士官学校は、庶民でも比較的簡単に入れるけれど。

帝国騎士官学校に入れるのは、生まれたときから英才教育を施された、優秀な貴族の子女だけ。

別に一般市民は受験出来ないという訳ではないけど、貴族でもない一般市民の受験者が帝国騎士官学校に入学出来た、なんて例は皆無に等しい。

物心つかない頃から、金に物を言わせた特別な教育を施された者だけが入れるのだから。

それに、本人の努力と才能。

いくら高度な教育を与えられて育とうと、それに見合う恵まれた才能がなければ、帝国騎士官学校には入学出来ない。

生まれながらの才能と、弛み無い努力。

あとは、財力。

高度な教育を受けさせる為には、やっぱりそれなりのお金が必要だ。

これらが揃って初めて、帝国騎士官学校を受験することが出来る。

でも、合格するかどうかは別の話。

生まれたときから、帝国騎士官学校に入る為に死ぬほど努力したというのに、あと一歩のところで落ちてしまった…なんて話は、特に珍しくもない。

実は、俺もその口なのだ。

あと一歩のところで落ちちゃった勢。

え?でもお前今、春から通うって言ってたじゃん。と思われるかもしれないが。

確かに俺は、春から帝国騎士官学校に通う。

でもそれは、皆憧れの帝国騎士官学校じゃない。

俺が合格したのは、帝国騎士官学校の兄弟校。

第二帝国騎士官学校である。
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