Music of Frontier
第二帝国騎士官学校とは、どんな学校なのか。

天下の帝国騎士官学校に並ぶ学校を作ろうということで、帝国騎士官学校創立1000年を記念して作られた学校である。

帝国騎士官学校ほどではないものの、でも負けず劣らずの優秀な学校で、帝国騎士官学校を第一希望、第二帝国騎士官学校を第二希望として受験する生徒は多い。

俺もその口。第一希望には落ちたけど、第二希望の第二帝国騎士官学校には合格出来た。

だから、春からそこに通うことになる。

これだけ聞くと、「何だ、結局滑り止めの学校じゃん」と思うことだろう。

でも、自分で言うのもなんだが、これだけでも充分凄いことだ。

俺の生まれは、中流貴族のマグノリア家。

マグノリア家は、ここ数百年に渡って、帝国騎士官学校に入学するような優秀な人間はいなかった。

ほとんど諦めかけていた頃、俺の姉が見事、第二帝国騎士官学校に入学を果たしたのだ。

これは一族にとって、大変喜ばしいことだった。

マグノリア家の期待を背負って帝国騎士官学校に入学した姉は、昨年無事に卒業し、今は帝国騎士団で働いている。

そして、俺だ。

俺は姉に憧れ、姉と同じく帝国騎士団に入りたいという、その一心でずっと頑張ってきた。

帝国騎士は、その名の通り騎士だから、普通の勉強に加えて、剣術の腕も磨かなければならない。

決して平坦な道のりではなかったが、俺は努力に努力を重ね、帝国騎士官学校には落ちたけれど、姉と同じ第二帝国騎士官学校には無事に合格した。

俺も嬉しかったし、姉も喜んでくれた。

親友のルクシーも、我が事のように喜んでくれた。

けれども。

憧れの帝国騎士官学校に合格したのは嬉しいことだけど、でも…これからおよそ六年間、大好きなスイーツから離れ離れになるというのは…にわかには許容しがたかった。
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