カリスマCAMPARIソーダ
「矛兎《ほくと》さん、ちょっといい?」
「あ、真智美《まちみ》ちゃん!おはよう〜」
「……え?私らっていつのまに友達?名前呼びされるような仲じゃないと思うんだけど、」
「馴れ馴れしかった?ごめんね!」
唇の前で手を合わせて謝れば、真智美ちゃんの片眉がぴくりと上がった。
そして真智美ちゃんのお友達が他に3名。
電車の窓辺に立つ私に話しかけてきたのは、ナンチャラ真智美ちゃん。同じ大学3年生。確か人文学部だったはず。
「……あのさあ。佑星《ゆうせい》と矛兎《ほくと》さんが腕組んでるのを見かけた友達がいるんだけど、佑星とはどんな関係?」
「佑星くん?バスケサークルの?」
唇に指を当てて、考えるふりをする私。
バスケサークルは、私がついこの間まで入っていたサークル。
「うん。あんたと佑星とできてるって噂が蔓延してるんだけど、佑星って私の彼氏なんだよね〜」
ちょっぴり口調が強くなった真智美ちゃん。朝からオーラが黒い。
「う〜ん。佑星くんに、相談があるってカフェには誘われたけど、できてはないよ?だって、えっちしてないし、」
「……佑星から誘ったとでも言いたいわけ?」
「え?うん。まあそうだよね。」
「はあ?私と佑星はもう付き合って2年経つんだよ?佑星から誘うわけないじゃん!」
真智美ちゃんの手が拳を作っている。
女の子にしてはおっきな手だね。それで平手打ちされたら私、電車の外に飛ばされちゃうかも。