パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
「すみません、本当に助かりました」
「いや、このくらい」

 伊澄さんはなんてことないと言うように、笑みを浮かべた。
 あの頃から変わらない。彼は本当に、優しい人だ。

「では」

 頭を下げそう言うと、彼は「あー……」と私を見た。

「俺、百里基地に異動してきたんだ。しばらくはここにいるし、シングルマザーだと、色々大変だろう? これからも、頼ってくれ」

 眉を八の字にして微笑まれ、私は複雑な気持ちになった。

 彼の気持ちは、嬉しくないわけじゃない。今までも、たくさんの人に助けてもらってきた。
 だけど、相手が伊澄さんなのが問題だ。

 これ以上彼と一緒にいたら、子どもたちが伊澄さんの子どもだと、いずればれてしまうだろう。
 彼を、私の事情に巻き込みたくない。きちんと、お断りしよう。

 そう思ったのに、靴を脱ぎ終わった瑞月がむくっと立ち上がり、私と伊澄さんの間に割り込んできた。
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