パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
『良かった、千愛里ちゃんだよね』

 焦ったように私の名を呼ぶこの声は、父ではないが聞き覚えがある。

「はい、帆風ですけど」
『帆風鉄工副社長の水島です』

 私の声に被せるように、彼は名乗った。それから、慌てた様子で早口に言う。

『社長――君のお父さんが、倒れて病院に運ばれた。一度、小松に戻ってきてくれないか?』

 彼の言葉に、胸を叩く心臓の音が嫌なふうに変わるのを感じた。

 父はいつもむすっとしていたが、体だけは丈夫で、仕事を休んでいるところなど見たことがない。
 そんな父が、倒れて運ばれたなんて。

 父のことは、今まで考えないようにしていた。
 勘当されているわけだし、子どもたちを守ることに必死だったからだ。
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