パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 それから、彼は何度か博物館にやってきた。
 彼が来るのは決まって閉館間際だ。お仕事があるから仕方ないのだろう。
 来館時は懐かしむように練習機を見て、さっと帰ってゆく。

 だけど、時間があれば話しかけてくれた。彼がくれる知識はどれも為になり、明日から頑張ろうという気になる。
 それに、目が合い微笑まれると胸が高鳴って、幸せな気持ちになる。

 だけど、芽生えた淡い気持ちは、胸の奥に秘めた。同僚の追求すら「なにもないよ」とやり過ごしながら。


 季節はあっという間に変わり、寒空の続く年の瀬。クリスマスのその日は、珍しく大雅が来館していた。

 大雅はたまに博物館にやってきて、航空機を見たり戦闘機の操縦シミュレーターを楽しんだりして帰ってゆく。
 大企業の御曹司とはとても思えないが、すごく彼らしい。
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