パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 一度息を大きく吐き出し、呼吸を整えた。すると伊澄さんはそんな私の様子を見て、不安そうに瞳を揺らした。
 だけど、決意がぶれぬうちに口を開く。

「親の紹介で、結婚が決まりました。私とは、別れてください」

 言葉にすると、罪悪感が重く胸にのしかかる。目頭がかっと熱くなって、私は慌ててもう一度俯いた。

 伊澄さんは今、どんな顔をしているのだろう。見たいけれど、顔を上げられない。
 強い意志を持ってここに来たのだ。泣きそうな顔など、彼に見られたくない。

 しばらく俯いたままでいたが、やがて彼がそっと口を開いた。

「うまく反応できなくて悪い。でも、政略結婚だろう? だったら――」
「違うんです」

 彼の言葉の続きを聞くのが怖くて、私は言葉を遮った。
 航空自衛官である彼を、巻き込みたくない。だから、必死に考えてきた嘘の言い分を口にした。

「相手は、昔から好きだった人です」
「は……?」

 彼の口から、意味がわからないというような声がもれた。でも、それでいい。
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