パパになった航空自衛官は強がり双子ママに一途な愛をわからせたい
 会わなくていいと思っていたのに、今、会いたかったと胸が叫び、痛いくらいに締め付けられている。
 今さら合わせる顔なんてないのに、あの頃と同じように名を呼んでもらえたことを喜んでしまう。

 好きだから、会いたくなんてなかった。

 こみ上げた感情が胸の内でぐしゃぐしゃになって、泣きそうになる。
 だけど、泣いてはダメだ。彼にあんなにひどいことを言ったのだ。これ以上、彼を巻き込んではいけない。

「あなたには、関係ないことです」

 震えそうになるのをなんとかこらえて声をだす。それなのに、彼は私の顔を覗いた。

「関係なくなんかない。俺はずっと、千愛里に会いたかった」

 優しい瞳があの頃と同じで、罪悪感が波のように押し寄せてくる。

 ――好き。
 胸はそう叫んだけれど、私はあの日と同じように彼を睨むしか出来なかった。そうしないと、涙がこぼれてしまいそうだ。

 つかまれていた彼の手を、意を決して振り切った。それから急いでデッキを出て、足早に階段を下りる。
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