佐藤先輩と私(佐藤)が出会ったら
「晶先輩、お疲れ様です!!」



「うん、お疲れ様〜。」



着替えるつもりはなかったけれど磯貝さんと話している流れで一緒に制服に着替え、女子更衣室の前で磯貝さんと挨拶をする。



空は当たり前だけど真っ暗で、今日はブレザーだけだと少し肌寒いようにも感じた。



「晶ってあの子か、1番上手い子じゃん。」



すぐそこに立っていた大きな男子の所に小走りをした磯貝さんに、その男子が驚いた顔をしながら私の名前を出した。



「シィィィ――――――――っっ、声大きいって!
だから言ったじゃん、晶先輩が男バスのマネージャーになったのもあったから、私は断らなかったって。」



「名前なんて覚えてねーよ、背番号で言わねーと。」



「私がこの学校に入りたい理由になった人、晶先輩だよ!?
ベンチに入れるギリギリの背番号だったのにスタメンだった人!!
後で1年生だって知ってめっちゃビックリしてたじゃん、私!!」



途中からは磯貝さんの声の方が大きくて思わず笑ってしまうと、磯貝さんがソ~〜〜っと私のことを見てきた。



「すみません・・・、私は中高一貫校の中学に通ってて・・・。
私は全然上手くないテニス部員だったんですけど、バスケ部の応援に行ったんです。
私の友達のお姉さんがバスケ部で、その友達と一緒に。」



「で、こいつの友達が俺の男友達の妹でもあって、俺も男友達に無理矢理連れていかれたんだよな、懐かしい。」



「そうそう、そこで出会って・・・って、今はその話じゃなくて!!」



今までそんなに話したことがなかった磯貝さんが、私の目の前で両手を握り締めながら、キラッキラとした目をしながら口を開いてきた。



「正直、自分の学校の応援よりも、友達のお姉さんの応援よりも、全然関係ない1つ後にやっていた晶先輩が出ていたこの学校の試合の方がめちゃくちゃ楽しくてめちゃくちゃ応援しちゃって、めちゃくちゃ興奮して・・・っっめっっっっっちゃファンです!!!」



思わず吹き出してしまい、「そうだったんだ、ありがとう」と返した。



そしたら・・・



「だって、あんなのファンになりますって!!
凄く小さくて可愛い女の子が相手のドリブルもパスも何回もカットしちゃうしっ、それでめちゃくちゃ速いドリブルで1人でゴールしに行っちゃうしっ、「え、そこ投げちゃうの!?」って思った所に絶対同じチームの人が現れて必ずパスが通るしっ、「え、何でそこにいるって分かったの!?」って感じで全然見てないはずなのにパス出来ちゃうし、めっちゃ小さい晶先輩がウワッて入ってシュートをしに行く時とか、他の人達はスローモーションなんじゃないかと思うくらい、誰も止められてなくて!!!!
もう、マジで凄くて!!!マジで格好良くて!!!
あんなに小さくてあんなに可愛い顔なのに、同性なのに、マジで・・・・・マジで格好良くて!!!」



「ていう話でこいつと盛り上がって、何かその勢いで付き合うことになった。」



「最初見た時は”ガラ悪・・・"って感じの人だったのに、晶先輩の話にずっっっっっと付き合ってくれて、めっちゃ良い人なんだって気付けたんですよ!!
何か色々、ありがとうございました!!」



中高一貫校なのにこの高校にいる磯貝さんに「何か良かった」と返すと、磯貝さんが言いづらそうにモジモジとし始めた。



「ずっと晶先輩のファンです・・・。
入った後に晶先輩が怪我でバスケが出来なくなっていたと知って、自分のことでもないのに連日泣いていた晶先輩のファンです・・・。
バスケなんて全然分からないし、体育の時しかバスケットボールも触ったことがなかったのに、私が1番好きなスポーツはバスケットボールです。」



磯貝さんが真っ直ぐと私のことを見詰め、言った。



「私が1番好きなスポーツは、晶先輩がやるバスケットボールです。」



それには、涙を溜めながら「ごめんね」と言った。



いや、言おうとした時・・・



「俺が1番好きなスポーツは、晶と遊ぶバスケットボールだよ。」



私の後ろから、佐藤先輩の声がした。



中学の時よりもずっと低くなった声が・・・



中学の時と同じ言葉を、言った・・・。



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