佐藤先輩と私(佐藤)が出会ったら
最後の最後でパスをしたボールに、佐藤先輩はめっっっっちゃ怒った顔をした。



「そっちじゃないから。
そっちなわけないでしょ。」



そう言われ・・・



「ぇ・・・・?ぁ、・・・・あ・・・・ンッ、パパ・・・・?」



「エッチな顔と声でそんなヤバいこと言わないでよ、そうじゃなくて・・・」



「も、頭・・・・白くなってく・・・・っっ」



「うん、そうだよね・・・、だからさ・・・」



佐藤先輩が何かを言い掛けた、その時・・・



ガチャッ――――――――――――…………



と、1階にあるリビングの扉の音が聞こえた。



それにはお互いにピタッと止まる。



まるで、時間が止まったかのようにピタッと止まった。



そして、バッッッッッ――――――…………と



次の瞬間には離れ、お互いにベッドから飛び起きた。



サッと身体や周りを確認し、私は少し上がっていたロンTと掛け布団を整え、それからパッと部屋の扉を見た。



そしたら、見えた。



ブレザーを着てエナメルバッグを持ち上げた佐藤先輩の後ろ姿が。



「あ、竜也君、もう帰れそう?」



「うん、もう帰る。
今日はハンバーグも生姜焼きもありがとうね。
めちゃくちゃ美味しかったよ。
晶・・・。」



佐藤先輩が作ったようなニコッという笑顔で私に振り向き、それから困った顔で笑った。



「途中になっちゃってごめんね!
でも明日からマジでよろしくね、俺が言ったこと絶対に守ってね!!!」



佐藤先輩が言っていたどの話か分からずに考えていると、佐藤先輩がお母さんのことを見た。



「お母さん、俺さ・・・今の彼女と別れないことにした。
晶が今の俺の彼女のことが好きなんだって、結婚して欲しいと思ってるくらい。」



「そうなの?
晶がそこまで"ヒヨリ”さんのことを?」



「うん、そうなんだって。
"ヒヨリ”と結婚するとか正直何も考えられないけど、晶がそこまで"ヒヨリ”が良いなら気合いを入れて結婚まで頑張りたいとは思ってる。」



「それ、結婚がゴールになってない?大丈夫?
晶のワガママなんて気にしないで、竜也君が本当に好きな女の子と結婚した方が良いと思うよ?
これからもっと色んな女の子と出会うだろうし、今から結婚まで考えなくても。」



「・・・・・いや、でも晶が久しぶりにあんなに喜んでたし。
俺が中学を卒業したら晶もツンツンしちゃって、昔みたいな顔は全然見せてくれなくなっちゃったし。
俺と"ヒヨリ”が付き合って結婚することで晶がそんなに喜んでくれるなら、俺"ヒヨリ”と頑張る。」



「そ〜お?お母さんは心配だけど・・・。
何かあったらお母さんに言ってね?
出来ることなら何でもするからね?」



「うん、ありがとう。
じゃあ晶のことをお願いしたい。
"ヒヨリ”が何故か晶に嫉妬みたいな感じになっててさ、明日から俺は晶と必要以上に絡めなくなっちゃって。
晶が結婚するまで、晶が男と変なことしないようにちゃんと見張ってて。」
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