佐藤先輩と私(佐藤)が出会ったら
慎也とお店の前で別れた後、佐藤先輩と一緒に初めて来た街を駅に向かって歩いていく。
「もう・・・っ、あんなことを言っちゃって・・・っっ。」
「本当に何かしたとは思ってないでしょ。
あいつ、俺のことを晶の本当の兄貴だと思ってたよ?」
「えぇぇ!?」
「晶がトイレに行ってる間の会話がそんな会話で、”こいつバカだな〜”って思ってた。」
「でも・・・同じ名字だし、似てるし、みんなから兄妹って言われてるし、そっか・・・。」
こうやって佐藤先輩の隣でまた歩けて、こうやってまた話せるのは凄く"嬉しい”と思う。
でも・・・
「ヒマリさんと別れちゃったんですね・・・。」
下を向きながら呟いた私の視界に、ギュッと握った佐藤先輩の手が見えた。
「ごめんね・・・。」
「いや、責めてるわけではなくて・・・。」
「俺・・・気付いちゃったから・・・。」
歩きながら佐藤先輩のことを見上げると、佐藤先輩の横顔が口を開いた。
「晶と昨日も今日も部活で会った。
男バスのことなら晶と話すことも出来る。
さっきなんて久しぶりにバスケまで一緒に出来た。
でも・・・」
言葉を切った佐藤先輩が小さく息を吸った。
「俺は、明日も晶に会いたい・・・。
明日も晶と話したい・・・。
部活の時間だけじゃ全然足りない・・・。
もっと会いたい・・・もっと話したい・・・、もっと・・・もっと、俺・・・」
佐藤先輩の横顔から見えるその目は、初めて見る目のような気がする・・・。
友達や男バスのメンバー、彼女、"家族”である花音ちゃんや"妹”の私も見せたことがない目。
この前私に見せた、独占欲や興奮の目とも違う目。
そんな初めて見る目で佐藤先輩はずっと真っ直ぐ前を見詰めている。
「俺さ・・・、もう結婚なんてしなくて良いと思って・・・晶みたいな子どもも諦めて・・・、俺さ・・・俺、晶がいればそれで良いと思って・・・。
俺、晶ともっと一緒にいたい・・・、もっと一緒に話したい・・・、もっと一緒にバスケもしたい・・・。
俺・・・晶ともっと一緒にいたいんだって、気付いて。」
私のことを見ることなく佐藤先輩がそう言って・・・
「俺ともデートしてよ。」
ぎこちない笑顔に見える顔で、佐藤先輩が笑った。
「今度、俺ともデートしよう?
"お兄ちゃん"とさ、デートしようよ。
晶が行きたい所に・・・何処にでも連れて行くから。
何処に行きたい?水族館?遊園地?・・・動物園?
パンダ、見に行く?
土曜日さ、部活終わるの夕方じゃん、パンダ見に行こうよ。
俺もさ、パンダが結構好きで・・・。」
「佐藤先輩、パンダが好きだったんですか?
知らなかったです。」
「うん、俺も・・・さっき気付いた。」
「佐藤先輩のことは何でも知ってると思ってましたけど、私が知らないこともいっぱいあったんですね。
彼女さん達とは何処でデートしてたんですか?」
「え・・・・・・・、何処に行ってたかな。
たまに・・・・たまに、デート行ってたよね、俺。」
「たまに何処に行ったのか聞いても、”別に、そんなことよりさ〜"だったので、何処に行ったかいつも知りませんでした。」
「・・・・・・・・でも、水族館とか遊園地、動物園系はなかった。
そこまで彼女に時間取りたくなったし。」
「それは星野先輩に”クズ”って言われちゃいますよね。」
「うん・・・・・そうだよね、うん・・・。
え、そんな"お兄ちゃん”とはデートしたくない?」
歩きながら下を向いた佐藤先輩の横顔から視線を移し、今度は私が真っ直ぐと前を向いた。
そして、言った。
「高速道路の下。」
「え・・・・・?」
「高速道路の下が良いです。」
「でも・・・それは、デートじゃないって・・・。」
「佐藤先輩と行きたい場所は、水族館でも遊園地でも動物園でもなく、高速道路の下です。」
所々にある小さな店、地下鉄の駅に続く小さな階段の入口が暗い夜の中で小さく光っている。
その小さな小さな光りを眺めながら、言った。
「佐藤先輩、私、佐藤先輩とバスケットボールで遊びたいです。」
「うん・・・・遊ぶか。」
左膝はもう痛くはない。
私はもう、どこも怪我をしていない。
なのに、こんなにも胸が苦しかった。
こんなにも身体が重かった。
"私にはやっぱり、佐藤先輩と一緒にいる普通の女の子になれる未来はなかった・・・。”
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「もう・・・っ、あんなことを言っちゃって・・・っっ。」
「本当に何かしたとは思ってないでしょ。
あいつ、俺のことを晶の本当の兄貴だと思ってたよ?」
「えぇぇ!?」
「晶がトイレに行ってる間の会話がそんな会話で、”こいつバカだな〜”って思ってた。」
「でも・・・同じ名字だし、似てるし、みんなから兄妹って言われてるし、そっか・・・。」
こうやって佐藤先輩の隣でまた歩けて、こうやってまた話せるのは凄く"嬉しい”と思う。
でも・・・
「ヒマリさんと別れちゃったんですね・・・。」
下を向きながら呟いた私の視界に、ギュッと握った佐藤先輩の手が見えた。
「ごめんね・・・。」
「いや、責めてるわけではなくて・・・。」
「俺・・・気付いちゃったから・・・。」
歩きながら佐藤先輩のことを見上げると、佐藤先輩の横顔が口を開いた。
「晶と昨日も今日も部活で会った。
男バスのことなら晶と話すことも出来る。
さっきなんて久しぶりにバスケまで一緒に出来た。
でも・・・」
言葉を切った佐藤先輩が小さく息を吸った。
「俺は、明日も晶に会いたい・・・。
明日も晶と話したい・・・。
部活の時間だけじゃ全然足りない・・・。
もっと会いたい・・・もっと話したい・・・、もっと・・・もっと、俺・・・」
佐藤先輩の横顔から見えるその目は、初めて見る目のような気がする・・・。
友達や男バスのメンバー、彼女、"家族”である花音ちゃんや"妹”の私も見せたことがない目。
この前私に見せた、独占欲や興奮の目とも違う目。
そんな初めて見る目で佐藤先輩はずっと真っ直ぐ前を見詰めている。
「俺さ・・・、もう結婚なんてしなくて良いと思って・・・晶みたいな子どもも諦めて・・・、俺さ・・・俺、晶がいればそれで良いと思って・・・。
俺、晶ともっと一緒にいたい・・・、もっと一緒に話したい・・・、もっと一緒にバスケもしたい・・・。
俺・・・晶ともっと一緒にいたいんだって、気付いて。」
私のことを見ることなく佐藤先輩がそう言って・・・
「俺ともデートしてよ。」
ぎこちない笑顔に見える顔で、佐藤先輩が笑った。
「今度、俺ともデートしよう?
"お兄ちゃん"とさ、デートしようよ。
晶が行きたい所に・・・何処にでも連れて行くから。
何処に行きたい?水族館?遊園地?・・・動物園?
パンダ、見に行く?
土曜日さ、部活終わるの夕方じゃん、パンダ見に行こうよ。
俺もさ、パンダが結構好きで・・・。」
「佐藤先輩、パンダが好きだったんですか?
知らなかったです。」
「うん、俺も・・・さっき気付いた。」
「佐藤先輩のことは何でも知ってると思ってましたけど、私が知らないこともいっぱいあったんですね。
彼女さん達とは何処でデートしてたんですか?」
「え・・・・・・・、何処に行ってたかな。
たまに・・・・たまに、デート行ってたよね、俺。」
「たまに何処に行ったのか聞いても、”別に、そんなことよりさ〜"だったので、何処に行ったかいつも知りませんでした。」
「・・・・・・・・でも、水族館とか遊園地、動物園系はなかった。
そこまで彼女に時間取りたくなったし。」
「それは星野先輩に”クズ”って言われちゃいますよね。」
「うん・・・・・そうだよね、うん・・・。
え、そんな"お兄ちゃん”とはデートしたくない?」
歩きながら下を向いた佐藤先輩の横顔から視線を移し、今度は私が真っ直ぐと前を向いた。
そして、言った。
「高速道路の下。」
「え・・・・・?」
「高速道路の下が良いです。」
「でも・・・それは、デートじゃないって・・・。」
「佐藤先輩と行きたい場所は、水族館でも遊園地でも動物園でもなく、高速道路の下です。」
所々にある小さな店、地下鉄の駅に続く小さな階段の入口が暗い夜の中で小さく光っている。
その小さな小さな光りを眺めながら、言った。
「佐藤先輩、私、佐藤先輩とバスケットボールで遊びたいです。」
「うん・・・・遊ぶか。」
左膝はもう痛くはない。
私はもう、どこも怪我をしていない。
なのに、こんなにも胸が苦しかった。
こんなにも身体が重かった。
"私にはやっぱり、佐藤先輩と一緒にいる普通の女の子になれる未来はなかった・・・。”
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