DEAR 2nd 〜Life〜





……一歩、一歩。





ゆっくり静かに。



真っ直ぐ前を見つめる。






そこには──………










“初めまして。

俺が部長の高山です。”






“あの─…



私、一年の桜井彩といいます。



えっと………



わ、和太鼓部に入部したくて……”







───…そこには、そう。






三年前の二人がいた。



緊張しているのか、入部届けを握り締めている手が震えているあたし。



そんなあたしを、穏やかに見つめているぶんちゃん。






……そんな二人を、あたしは懐かしむように笑いながら見つめた。







“あの、良かったら番号交換しませんか?”




“─……もちろん。”







初めて交わした番号。



あたしってば、よっぽど嬉しかったんだろうな。



真っ赤な顔でにやにやしてる。







“良かったら基礎のリズム教えようか?”



“えっ…いいんですか?”







……嬉しそうだね。



ねぇ、どうかその気持ちをいつまでも大切にしてね。







───…サァァァッ…




風が爽やかに吹き、目を閉じた。




ここから全てが始まったね。




あなたに出逢えた。


あなたが気になった。


あなたを知りたくなった。


そのうちあなたの一番になりたいと願った。



あなたを好きになった。





恋の始まりが訪れた。




校内であなたがいないかなんて期待して、隅々まで見渡したりしていた。



あなたがいなくなった今でも時々クセで探していたりした。





思い出の欠片が所々に転がっていたから。







……だけど、そうだね。

それも今日で終わり。






あたしも、もうここからいなくなる。






───思い出は、ここに置いていこう。






……大丈夫。




もう十分集め尽くしたから。




始まりの場所を終わりの場所に変えよう。







「──…ありがとう…」






そう呟き、まだ笑って話している二人に背を向けた。






───…さよなら。





愛しすぎる思い出たち。





───…さよなら。




愛しかった人。






───さよなら。




恋焦がれていたあの日の自分──…




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