DEAR 2nd 〜Life〜



「───彩。

これどうする?」




「……あ、うん、いる………ありがと……。」





「───ん。」





朝岡さんがやわらかく微笑むのと同時に、あたしはサッと視線を逸らした。






─────……





あれから………。




何だかまともに朝岡さんの顔が見れない。





何でか罪悪感に苛まれて、申し訳ない気持ちになる。





もしかして朝岡さんは何か知っているんじゃないだろうか………。







「────…彩?」





「……え?」





「───出発してもいい?」





「あっ、あぁ!うん!!!!」





慌てて笑顔に切り換えて笑うと、朝岡さんは車のキーをゆっくりと回した。





────ヴォン……。








「───彩、ちゃんとご飯作って食べるのよ!

あと洗濯物溜めないで、掃除もちゃんと……」






「分かった分かった!

もうお母さんってば、あたしももう大学生なんだよ?

そんな心配しなくて大丈夫だって♪」





「……だってねぇ……」





「───大丈夫っ!!!!

絶~~っっ対歯科衛生士の免許取って帰ってくるよっ★」





─────ニコッ♪





窓からそう笑って言うと、お母さんは呆れたように笑った。





「……分かったわ。



───じゃあお母さん、

彩が歯科衛生士になって帰ってくるの楽しみにしてるからね。」






「────うんっ!!!!

じゃっ行ってきまーす♪」





「いってらっしゃい!」






「彩ママ~!!オレの事も忘れないでねーっ!!!!」





「───おい猿!

話に入っていくタイミング完全に間違えてるやろ!」





「うわぁぁぁだって寂しいんだもん~!」





「いつから彩ママの子供になったんだよお前は。」





「───頭イカれたんじゃない。」








……そう笑って。






遠くなっていくお母さんと実家に手を振り、






「────♪」






爽やかな春の風を感じながら、真っ直ぐ前を見つめた。







────…これから始まる新たな生活に、ただ純粋に胸を膨らませながら………




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