DEAR 2nd 〜Life〜




二人して同じベッドに潜った夜。




寂しいとは言ったものの、やっぱり気恥ずかしい。






「……狭い?」




「んー、狭いけどくっついたらそうでもないやろ♪」





「───…え?



────きゃっ…」






─────ギュッ。





予告なしに抱き締められ、ドキマギしながらも






「……もう……」






特に何も抵抗せず、そのままスッポリと朝岡さんの胸に収まった。






────ドキドキ……






広い胸に包まれた時に香る匂いが、狭い胸をより狭くする。






「……あったかい……」






ずっと憧れていた朝岡さんの胸は、想像以上に広くて温かくて優しくて──……






「……彩もあったかいよ。」






包容力ゆえの心地よさと安心感に、早まった心音はだんだんゆっくり落ち着いていく。







「───……あ。



そういや、彩は明日何時から学校?」





「……えっと……

二限からだから10時半からかな……」





「よかった。俺も三限からやから一緒に行けるな。



送っていくから。」





「……ありがとう。」






───そうだ。





明日頑張ればいよいよ──……






「───ねぇ朝岡さん。



日曜日のデートさ、どこ──……」






「─────………」






…………





ありゃ……?






「……寝てる……。」






──…なんか普通逆なような……。





……でも……





課題の作曲まで頑張ってたもんね……。






「────……」






朝岡さんは静かに寝息を立てて眠りについていた。






「───…かわいい…」





初めて見る寝顔に、また微笑みが零れる。





普段の朝岡さんはかっこいいけど、こうやって寝てる無防備な朝岡さんはかわいい。






………どっちの朝岡さんも好きだなぁ……。







「───……おやすみ…」






────ギュッ…。






寝ながらも抱き締めてくれているその腕を、そっと握り返した。








ずっと離したくないと。





ずっと手放さないと。







────思っていた。







思って………





いたのに───……。








もう




既に狂い始めていた歯車の動きを止められなかった。


< 182 / 475 >

この作品をシェア

pagetop