DEAR 2nd 〜Life〜





「……は、恥ずかしい…」






「いやそんな事ないって!!前より更に魅力アップしたよ!」





美月は自分のプロデュースに大満足な様子で、あたしの周りをくるくる。






「・・・・・・・・」






あたしは照れくさくて……でも嬉しくて。





鏡の中の生まれ変わった自分を見て、胸が無性にドキドキした。





こんな綺麗なドレスに身を包んで、新しい日々にまた“期待”出来るなんて思いもしなかったから。






「───その鍵のネックレス可愛いね♪」





「えっ?あぁこれ……」





美月は仕上げに、あたしの肌にパフでキラキラパウダーを抑えながら笑った。






「うん、ドレスによくテイスト合ってるし……。



別にネックレスは、シンプルにそれだけで十分そうだね。」





「………うん……」








────シャラ……







どうしてかな。






自分を捨てても、これだけはどうしても捨てきれなかった。





もう今では、唯一羽を休める居場所のようなものだったから。








「───よぉぉし♪完了!!





───今日からよろしくね、愛美。」










「────うん。」









周りから否定される自分が大嫌いで自分を捨てた。





そんな弱い自分の面影を鍵形に残して胸元に唯一光らせて。






見た目を変えて



名前を変えて





今の自分から気持ちを切り換えられるなら、何でも良かった。






“この世界に立つ事で、

朝岡さんからも遠くなれるかも”って。







───…そんな風に思ってたよ。






あの頃の自分は、ただがむしゃらで。





がむしゃらになる事で、

今まで起こった嫌なこと全部を忘れられるような気がしてた。







────だから“愛美”になった。







強く、気高く、誇り高く。





何があっても泣かない、

弱音も絶対吐いたりしない。





弱さにも微動だにしない、好きな人にも心揺るがない。







そんな───……








“間違えた強さ”に憧れていたよ。


< 254 / 475 >

この作品をシェア

pagetop