DEAR 2nd 〜Life〜
「……は、恥ずかしい…」
「いやそんな事ないって!!前より更に魅力アップしたよ!」
美月は自分のプロデュースに大満足な様子で、あたしの周りをくるくる。
「・・・・・・・・」
あたしは照れくさくて……でも嬉しくて。
鏡の中の生まれ変わった自分を見て、胸が無性にドキドキした。
こんな綺麗なドレスに身を包んで、新しい日々にまた“期待”出来るなんて思いもしなかったから。
「───その鍵のネックレス可愛いね♪」
「えっ?あぁこれ……」
美月は仕上げに、あたしの肌にパフでキラキラパウダーを抑えながら笑った。
「うん、ドレスによくテイスト合ってるし……。
別にネックレスは、シンプルにそれだけで十分そうだね。」
「………うん……」
────シャラ……
どうしてかな。
自分を捨てても、これだけはどうしても捨てきれなかった。
もう今では、唯一羽を休める居場所のようなものだったから。
「───よぉぉし♪完了!!
───今日からよろしくね、愛美。」
「────うん。」
周りから否定される自分が大嫌いで自分を捨てた。
そんな弱い自分の面影を鍵形に残して胸元に唯一光らせて。
見た目を変えて
名前を変えて
今の自分から気持ちを切り換えられるなら、何でも良かった。
“この世界に立つ事で、
朝岡さんからも遠くなれるかも”って。
───…そんな風に思ってたよ。
あの頃の自分は、ただがむしゃらで。
がむしゃらになる事で、
今まで起こった嫌なこと全部を忘れられるような気がしてた。
────だから“愛美”になった。
強く、気高く、誇り高く。
何があっても泣かない、
弱音も絶対吐いたりしない。
弱さにも微動だにしない、好きな人にも心揺るがない。
そんな───……
“間違えた強さ”に憧れていたよ。