DEAR 2nd 〜Life〜
「……うわぁ……」
白いドレッサーや、乙女心をくすぐるキラキラ、ふわふわな小物、メイク道具。
奥にはそんな華やかなメイクルームがあり、不覚にも少し気分が上がってしまった。
……すごーい……
「───まず髪からかな~……。
プリン染め直して、デジパも当ててふわふわにしちゃお♪
あとはネイルも!♪
ドレスに合わせて可愛くしてもらってぇ……」
───…美月は何故かあたしより楽しそうにスタッフに指示を始め、急に背後が慌ただしくなった。
「……み、美月ぃ……。
あたしどうなっちゃうの?」
────ペタペタ…
髪にカラー剤が塗られていき、腕組みしてその様子を伺っている美月に問い掛けると
「───どうなるも何も、生まれ変わるんでしょ?
────キャバ嬢、愛美に。」
「…………」
「“絶対負けない”って決めたんでしょ?
真っ向から戦うんでしょ?」
「────……うん……」
────…そう。
あたしは……
あんな風に人間を虫けらみたいに扱う奴らには絶対負けたくない。
ひれ伏したりもしたくない。
だって、あたしは天に誓って何一つ間違った事はしてない。
「───だったら、もうやるっきゃないんじゃない?
あたしは、昔から彩がそういう芯が強い人間だって事は知ってるよ。」
「────美月……」
────ポン……
美月はあたしの肩に両手を置き、鏡の中のあたしに微笑みかけた。
「……ありがと……」
どこがゴールかなんて分からないけど……
頑張るね。
こうやって背中押してくれる美月の為にも。
絶対負けないからね。
─────…そして
夜も深まった数時間後…。
「うっわぁ~~!!!!
いいじゃんいいじゃん!!」
─────カツン…
履いた事もない高いヒールを鳴らし、
キラキラ煌めく繊細なパールピンクのマーメイドドレスを着て、
ブラウンに染まったふわふわの髪を揺らし
見たことがない自分。
────あたしは
“愛美”に生まれ変わっていた。