DEAR 2nd 〜Life〜
大抵の人間は自分のしたことが“正しい”と正当化して生きていく。
それは時に“信念”として確立し
時に独り歩きして
“プライド”へと姿を変える時がある。
───…もしそのプライドのせいで、道を大きく踏み外してしまった時があったのなら。
どれだけの人が一歩後ろへ下がり、自分で自分の姿を見つめられる?
どれだけの人が自分の間違いを素直に認め、謝ることが出来る?
きっと
“守るモノ”が大きければ大きいほど
多ければ多いほど
人は引き下がる事が難しくなる。
どんどん謝る事が出来なくなる。
────…あたしには
きっとその守りたいモノが“自分”だった。
────ワァァァァ!
沸き起こる歓声と拍手の渦の中、あたしはまだ地面に座ったまま
────…サラサラ…
一枚の紙に思いを伝えるべく、ペンを滑らせていた。
「──…よし…っと…」
もうちょっと可愛げある便箋でも持参すれば良かったんだけど…。
────…カサカサ…
あたしは普段から使っている、全く華もないルーズリーフを折り畳んでいた。
「…あれ…。
こうだったかな…?」
よく高校生や中学生の授業の時に回していた手紙のように、ちょっと複雑に折っていく。
手紙を綴るなんて思いもしてなかったから、もちろん可愛い便箋も封筒も持ち合わせていない。
完全に即席の手紙だったけど、思いは深く強く。
きっと、その時の気持ちを伝えることが一番大事なんだから。
「……よし、っと…」
こんな感じかな…。
歌声を聞かせてくれた感謝の想いがあなたに届くようにと
───…あたしが折ったのはハート型。
続けて折り畳んだハートの表面に、筆記体の英語でサラサラと宛名を書く。
「───…えっと…」
急いで立ち上がり、手紙を預けようとキョロキョロと周りを見渡していると
─────ヴーヴー…
「────あ……」
タイムリミットの鐘が鳴った。
────ピッ。
「───…はい。」
『───愛美、時間。
今から同伴行くよ。』
美月の着信があたしを呼び止めた。