DEAR 2nd 〜Life〜
────……ずっとずっと朝岡さんの声が聞きたくて
それが唯一の支えであり、あたしの最大の願いで
願いが叶った瞬間、また明日からも生きていけるような気がした。
「───…すごいね、朝岡さんの力は……」
───…大袈裟なんかじゃないよ。
あなたの声が、歌が、誰かをこうして救ってる。
今にも打ちのめされそうな人を、自分の歌声で知らない間に励まして勇気付けるなんてね、
それってなかなか出来ない素晴らしいこと。
……事実、あなたが書いた詩はどれも誰かを励ますような言葉ばかりだったから。
───朝岡さんはそんな事が普通に出来る人。
無償の愛を、自分の損得も関係なしに与えられる人。
───…あぁそうか……。
だから……
「───だから朝岡さんは誰からも愛されるんだね………?」
強い信念と、強い意志を貫き通し、
人に優しく自分に厳しく生きる人だから。
───…だからあなたはみんなから敬まれて尊敬される人なんだね。
“朝岡さんになんか……
朝岡さんになんかあたしの気持ち一生分かるわけない!”
───…あの時あんな酷い事言ってごめんね。
あたしはきっと、知らず知らずのうちに朝岡さんを妬んでいたんだ。
人に優しさを振る舞えずに、否定された事が怖くてずっと自分の殻に閉じ籠ってた。
朝岡さんのまっすぐさが眩しくて、あたしは朝岡さんに噛み付いた。
────…それは
「───マキがやってる事と変わらないよ──…っ」
気付いてしまった。
気付かされてしまった。
あたしも“妬み”からあなたを傷付けていた。
───結局は、あたしもマキと同じ人間だったんだ。
「───…ごめ……なさいっ……」
ごめんなさい。
何もあたしばかりが傷つけられていたんじゃない。
あたしも人を傷付けていた。
いじめられて、ひねくれて、悲観して
────…あいつらと同じ様に八つ当たりして、憎しみをぶつけていただけだった。
───…あたしは
最愛なる人の声で、やっと自分がした事に気が付いたんだ。