DEAR 2nd 〜Life〜
────ザーッ……
「……なぁ彩。
そういえばこれ何?」
「え?何が?」
────キュッ。
ちょうど後片付けも終わり、あたしは蛇口をひねって振り返った。
「あぁそれね……」
「───うわっ、すげぇ量やんこれ!」
────カサカサ…
答えるよりも早く、朝岡さんはあたしが持ってきたコンビニ袋の中身を見て驚きの声を上げた。
「───…もしかして…
これ全部買って来てくれたん……?」
「……あはは、うん。
でもいくらなんでも買いすぎだよねぇ。」
大きすぎる袋に、明らか買いすぎな中身。
……ちょっと自分でも笑っちゃうくらいだ。
「……彩……ごめんな。
ありがとう…」
朝岡さんは申し訳なさそうな顔をしたものの、やっぱり嬉しいという両面的な表情をして
────…ふわり…
ちっとも変わらない手つきで、あたしの頭を撫でてくれた。
「……ううん…」
懐かしい感覚に、視界がふわりと水で揺れる。
あたしの涙腺、ホントどこまで緩くなっちゃったんだろ。
───…でもね?
これは決して“悲しい涙”でも“苦しい感覚”でもなくて。
嬉しくて幸せだから、
それが“涙”として形になってるだけなんだよ、きっと。
「───……彩…」
朝岡さんの指先が、そのままあたしの唇に降りてくる。
────…ドキッ…
泣いてるあたしを
ちょっと困ったような、
でも嬉しいような、そんな複雑な表情で見つめ──…
「───キスしていい?」
「…っえ、」
「嫌って言ってもするけど。」
───意地悪な朝岡さんと三度目の甘いキスを予感した瞬間。
「───…ぶぇっくしゅん!!」
……何てタイミング。
あたしは萌に笑われた
“おやじっぽいくしゃみ”を好きな人の前で引き起こしてしまった。
ギャーッ!!
さっ、最悪~…!!!!
恥ずかしい~!!!!
顔から湯気が出そうなくらい恥ずかしくて俯いていると
「───もしかして俺の風邪うつした?」
朝岡さんは真面目に心配してあたしを覗き込んできた。