DEAR 2nd 〜Life〜
潮時を自分で感じ取っただけ。
引き際のタイミングを自分で決めただけ。
引き返せなくなる前に、自分で終幕を決めただけ。
あの時のあたしに迷いはなかった。
───だけど…
「何を…何を冗談言ってるんだ愛美…」
「……ですから。
今お伝えした通りです。
今週いっぱいでHeavenを辞めさせて下さい。」
「───バカ言うな!
冗談もたいがいにしろ!」
───…出勤してすぐ。
あたしは気が変わらないうちに店長に退店の意志を告げた。
告げて数秒もしないうちに、今まで優しさの塊だった伊達店長が火山のように怒りを噴火。
二人が会話を初めてすぐ、穏やかな会話は挨拶のみ。
あたしが用件を告げれば、後は罵声と意志を貫き通す二人の張り合いが繰り返されていた。
「……冗談じゃないです。
自分でしっかり考えて決めた道です。」
「それならお前は間違えた道を選ぼうとしてる!
これからって時にお前は一体何を言い出すんだ!」
「……」
「いいかよく聞け愛美。
君には入店した時から何かを感じていたんだ。
周りを自然に笑顔にする話術や、接客。
気付いていたのは私だけじゃない。
今までなかったタイプだと客からも認められていた。
やっと今から開花しようとしてるんだ。
それを何だ?辞める?
何を笑えない冗談言ってるんだ。」
「…店長、あたし」
「雑誌の撮影だってもうお前で話が進んでるんだ!今さら辞めるなんか許さないからな!」
━━━━バンッ!
言い訳は絶対許さないとでも示すように、店長は強く机を強打した。
「……」
これにはさすがにあたしも言葉を飲み込んでしまう。
……けど。
けど──……
「……店長。
こんなあたしに期待して頂けるのは感謝してます。
でも……
だからこそ、あたしはその気持ちに答える事が出来ないんです。
ごめんなさい…。」
一生懸命な気持ちに、
適当な気持ちでは返せない。
もしこのままうやむやにキャバ嬢を続けたとしても、あたしはどちらも両立出来なくて結局…
どちらも潰してしまう。