DEAR 2nd 〜Life〜
「……あたしね、今でも思うんだ。
あの時美月にこの道誘われなかったらどうなってたかなぁって。」
「……」
“もう嫌だ”って一人ぼっちで孤独に嘆いていた時。
“絶対負けないって決めたんでしょ?
真っ向から戦うんでしょ?”
手を差し延べてくれたのは美月だったね。
“よし!
“愛美”にしよう。
愛らしさと美しさが周りから好かれるように願いを込めて”
愛美と初めて名付けられた日も、弱い自分を捨てられたような新しい感覚も。
────全部、全部。
今でも鮮明過ぎて忘れられないよ。
ボロボロで傷だらけのあたしの目の前に、突然出来た新しい居場所。
みんなみたいにキラキラ輝いて舞う蝶みたいになりたくて、必死で羽を広げて無我夢中で羽ばたいた。
断絶していた人との関わりも、優しさも厳しさも。
いじめを受けていたあたしには、どれも必要な出来事で人生の勉強になった。
ここに来たから、あたしはまた人を信じてみようって思った。
どう打ち解けたらいいんだろうって、自分自身を見つめ直せた。
勇気を持って、素直に人生を生きていこうって思えたの。
───…もう、大丈夫。
もう“愛美”っていう殻がなくても大丈夫。
あたしは愛美っていう人間から、強さと勇気を貰ったから。
「……バッカねぇ。
まだ今週いっぱいは“愛美”でしょ?
だったら最後くらいあたしからナンバーワン取るくらいの意地見せなさいよっ!」
「…美月…」
「まだ終わってないわよ。
……最後の最後まで気を抜かないで頑張りなさい。」
─────カツン…
美月はそのままあたしに手を振って背を向け歩き出した。
「………」
徐々に離れていくその背中を見つめていると、少しだけ視界が水で潤んでいく。
いつもいつも、追いつきたくても追いつけなかった美月の背中。
見つめていたばかりの自分とは違って、初めて……
肩を並べてみたいと思ったんだ。