DEAR 2nd 〜Life〜
「───愛美ちゃんっ!!!
お疲れ様でしたっ!」
「わー!ありがとう~…」
───引退当日。
愛美としての最後の勤務を終え、閉店後にキャストから花束が贈られた。
色とりどりの花束に込められた小さな気遣いに、あたしの頬が緩む。
「──…にしてもっ!
まさか愛美ちゃんがこんなに早く辞めるなんて思わなかったなぁ…
あのまま行けば、キャバ嬢としての将来性は十分だったのに…やっぱもったいないよ~…」
「あははっ、ありがと♪」
華恋ちゃんが名残惜しそ~に溜め息をつき、あたしは笑って吹き飛ばした。
「……そーんな余裕かましちゃってぇ、あたし知ってるんだからね~?
───実は朝岡くんと」
「ぎゃぁぁぁっ!!!!!
華恋ちゃん待って!何で知ってるの!」
「ふががっ…」
あたしはつい花束を放り投げ、華恋ちゃんの口を塞いだ。
「───なぁにぃまなちゃん?
何楽しそうに華恋ちゃんと話してるのぉ?」
「なっ何でもないっ!!!」
そこに萌と美月がやって来て、あたしはフガフガしてる華恋ちゃんに睨みをきかせた。
「──んなことより愛美。
あんた、とうとうあたしを抜かしたみたいよ。」
「えぇっ!?!?うそっ!?」
「ほーんと。悔しいけど、今日の売り上げ僅差であたしの負け。」
バッ!と出来たてホヤホヤのグラフ表を見ると…
「…う、うそ…」
確かにあたしはナンバーワンの座に輝いていた。
最終日とはいえ、初めてのナンバーワン。
最後だからと今までの指名客が一気に来てくれたからだとしても…
────じわっ…
最後に結果を残せたみたいで…
今までやって来た事が無駄じゃなかったんだと、目から涙が溢れた。
「───やったねーまなちゃんっ★♪ずっと頑張ってたもんね♪」
「愛美ちゃんの接客、あたしがヘルプついてても楽しかったし面白かったもん♪
愛美ちゃんみたいな子と一緒に仕事出来てよかった♪
ほんとにありがとう♪」
「…も…萌…華恋ちゃん…」
ずっと一緒に仕事してきた二人が思いもよらない言葉を掛けてくれて
あたしは耐えきる事が出来ないまま、ボロボロと涙を流していた。