DEAR 2nd 〜Life〜
…───実を言うと。
あたしは仕事に対しての意気込みはあったけど、あたしに対する周りからの評価には全然自信がなかった。
美月や萌や華恋ちゃん。
……いくら仲がいいとは言えど、一度仕事が始まったら友達はライバルへと姿を変える。
───この仕事なんか特にそう。
競争が激しいし、常に自分自身がランク付けされるし。
……実際はあたしも仲間内には裏でいろいろ言われてたと思う。
悪口、嫌味、妬み、愚痴。
絶対言われてただろうし、言われてないわけがない。
それに失敗だっていっぱいした。
うまく出来なくて店長に怒鳴られた事もあるし、お客様に罵倒された事だってある。
そんな姿を嬢仲間に見られては、笑いの種にされてた事も余裕であった。
悔しくて悔しくて、
でもどう頑張ればいいのかそれさえも分からなくて。
何回も泣いたし、何回も辞めたいって思ったし、何回も逃げたいって思った。
でもそうしたら今までと同じだなって思ったし、よく分からないけどその度に
“あともう少しだけ頑張ってみよう”って思ってた。
失敗は付き物。
失敗から学べばいい。
…───そういう悔しい気持ちを原動力にして、プラスに変えるのもいいんじゃないかとあたしは思う。
いつか笑ってるやつらを追い越すくらいの心意気で。
“いつか見返してやる”、それくらいの気持ちで。
「───…ほんとにナンバーワンだぁ……」
思わず自分がトップに立ったグラフ表を指でなぞるあたし。
……何か、初めて自分で自分を称賛出来そうだ。
「……なぁんか寂しくなるね~。
この不動のナンバーワン、美月様をやっと追い越したヤツが現れたってのにさ。」
「いぇい♪今日だけは美月に勝ったよん♪」
「明日からはまたあたしがナンバーワンだけどぉ♪
しかも結局最終日しかあたしに勝てなかったけどぉ♪」
「・・・・・」
美月は嫌味を鼻歌に乗せ、いかにもな笑顔。
…長年友達してるけど、我ながら最後まで嫌味な奴だ…。
でもあたし、美月にはちゃんと言っとかなきゃ。
「みーつきっ♪」
……あたしは笑顔で美月の背中に抱きついた。