DEAR 2nd 〜Life〜




どうしてこんなに好きなのか分からない。





好きに理由なんてないって言うけれど。





あたしはあなたのちょっとした仕草やクセ…






…───そう、たとえば待ち合わせしてる時。







あたしを見つけて目が合った時の、嬉しそうにはにかむ顔。





おっきい手を差し出して、一緒に歩幅合わせて歩いてくれるところ。





ハンドルに手を掛けて、慣れた手つきで運転してる横顔。





大好きな歌を歌ってる時の、あなたらしい姿。





いつも、いつも───…












“彩”









名前を呼ばれるだけで、

あたしは胸が震える。






……ねぇ、おかしいかな?





いつもどんな時もね。





あなたがいるその一瞬に、あたしはいつも恋してる。






そんな想い、届くかな?





限りも終わりもないこの気持ちに、気付いてくれるかな?






普段恋の話をするのが苦手なあたしだからね、こんな中でしか伝えられない。




こんな不器用な表現しか出来ない。






たいした言葉も綴れない。






だけど言葉では語りきれない想いを、今ここに書き記すよ。





あたしはあたしなりに、

あなたへの想いを書くからね。






…───どうか、





どうか届いてほしい。











─────……




…─────









────…カラン…





何時間経っただろうか。





時計の針はそろそろ朝日を迎える時間帯だ。






「───…う~っ…」





伸びをした時、昇ってきた朝日が書き立ての詞を照らした。






…───まるで“完成”の合図のように。








「…出来た…」






あたしは出来立てほやほやの作詞に目を通し、満足して微笑んだ。





疲れたけど、時間を忘れるくらい夢中になった。




別に苦じゃない…



いや、好きな作業かもしれない。





やっぱり詩を書くの好きだな…。






「──…へへっ…」






どんな顔でこれを読んでくれるかな?




恥ずかしいけど、早く見せたいな…。









───けど……






この“key”の歌詞が、まさかあんな形で朝岡さんの手に渡るなんて…。












運命のルーレットは







どうして






あたしを指したの?



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