DEAR 2nd 〜Life〜
───何となく……。
何となくだけど。
朝岡さんが寂しそうにしてる姿が思い浮かんだ。
朝岡さんの事だ。
あたし本人から何の連絡もなく、きっと戸惑っているに違いないだろう。
何でか分からないけど、
あたしはこんなどうしようもない時いつも朝岡さんの背中を思い出す。
マキの事ですれ違った日もそうだった。
“ありがとう
ごめんな”
いつも泣きそうな笑顔で笑って
いつも寂しそうな背中を向けて一人歩いていく。
自分は悪くないのに、その背中に罪を背負って歩いてく様で。
…───だからあたしは朝岡さんの背中を見る度にどうしようもない気持ちに晒されるんだ。
─────…コツ…
「……あ……
あれ………?」
気が付いたらあたしは、朝岡さんのマンション前に立っていた。
「……やだいつの間に…」
意識が飛んでた自分にもビックリだけど、
無意識にここまで歩いて来た自分にもビックリだ。
「……」
何してるの、あたし。
まだ話せる勇気もないのに。
こんな状況で見つかったりでもしたら、それこそ余計に傷つけちゃうのに……。
「……」
───でも……
本当に話せる日って来るんだろうか。
話せる日が来るまでに、
あとどれくらい時間が経つのを待てばいいんだろうか。
あたし───…
そうやって朝岡さんから逃げてるだけなんじゃないのかな…?
零れ落ちそうになる涙を避けようと空を仰いだ瞬間。
────…バタンッ…
すぐ側に隣接している駐車場から車のドアが閉まる音が聞こえた。
「っ」
何てことない物音にさえビクつき、咄嗟に物影に隠れるあたし。
──────けど…
─────…カチッ…
見慣れた車体から降り立ち、ポケットから出したキーでドアロックを施しているあの背中は──…
━━━━━ズキッ…
こんな胸が刺すような痛みを感じるのはたった一人。
────朝岡さんだった。